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かた21動物病院

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質問箱

「メダカは元気ですが、卵を産んだのを見たことがありません」「どうしたら卵を生ませられる?」 Q70101

しばらくです。その後、メダカ飼育は続いています。現在は40匹ほどで元気に泳ぎ回っていますよ。外飼い、玄関飼いから、今は部屋飼いとなっています。北国ですから致し方ありません。
45cm水槽、水温は室温と同じくらいで20度前後、水換えは置水で週2度10リットルずつ、給餌は朝1日1回行っています。エアリエーションは当初行っていませんでしたが、今は濾過ボーイを用いて通気と水の透明化を図っています。
部屋飼いで日に当てていないせいか、水槽壁の緑藻の発生、付着はありません。おかげで、飼育は順調に推移してます。以前は良く死んでいたのですが。
ひとつだけ疑問があります。繁殖を目指していませんが、これまで産卵、ふ化など一度も観察したことがありません。見逃しているのか、水換えの際に捨てているのか、気になっています。何かアドバイスがありましたらお願いします。

札幌市 北国の理科先生

北国の理科先生、メダカについての御質問ありがとうございました。メダカの越冬体制に入られたこと、本来の「凝り性」が発揮されており、喜ばしく思います。さて、本日はメダカの繁殖です。

先生のレターでの繁殖から見たいくつかの問題点(間違い);

  1. 水温は 20度前後
  2. 水換は 週2度 10L (45cm水槽)
  3. 餌やりは 1日1回
  4. 日に当てていない

つまり、産卵していないし、捨ててもいない。

A.基礎理論 メダカの教養講座

メダカは、熱帯魚の性質を持っています。

学名は「Oryzias Latipes=イネ(水田)に住む幅広のひれを持つ魚」です。ですから、子供の頃の田んぼでイネが植えそろった少し後のイネがぐんぐん育っている気候をイメージして下い。そこが生活・繁殖場だったはずです。

その生息分布地域は、日本・アジア大陸東部・台湾等の温帯・亜熱帯地域です。ちなみに、自然界での「日本メダカ」の生息の北限は、青森県です。北海道にはいません。

B.メダカの繁殖講座

成熟したメスが、産卵を開始するための三つの条件

  1. 水温
    「夏も近づく 八十八夜」初夏の田んぼのイメージです。最高水温20度C以上、最低水温10度C以上 が絶対条件です。具体的には、22度C以上にする必要があります。水槽用の簡易保温器具は、一般的に23度Cに保たれていますので利用できます。
  2. 日照時間
    毎日14時間以上の日照時間が必要です。16時間あれば嬉しいです。照明ランプを使う場合はタイマーを付けてください。
  3. 栄養状況
    産卵のためには体内に栄養のストックがいります。少し栄養・脂肪が付くぐらいが良いでしょう。1日1回の給餌より、2回以上の給餌が良いでしょう。もちろん冬の産卵オフ期は1日1回の給餌で結構です。私のようにメダカを屋外で飼っている場合は、2日に1回ぐらいでも問題ではありませんが、水温が15度C以上〔夏モード〕で管理されている場合には1日2回が良いでしょう。
上記の条件が満足できれば、理論的には メダカを年中産卵させることが出来ます。①②の条件を満たしても、産卵期モードに入るのに2週間は掛かります。

その他の環境条件

  • 水換えは、10日~14日に1回で十分です。ましてや濾過ボーイを使用しているのなら2週間に1回でも良いと思います。 頻繁の水換えは、魚を驚かすことにもなります。換える水量は、三分の一でよいです。よく換えても、週一回程度にしてください。その場合は、換える水量は もっと少ない量にしてください。
  • 産卵は光が当たり始めてからの早い時刻から始まります。もちろんオスがそれに対応し卵がメスのお腹から出たら精子をかけて受精しなければなりません。
  • 受精卵はうまく藻や水草にこすり付けて産み付けられなくてはなりません。また、うまく卵を採取しないと他の魚に食べられてしまうこともあります。

ぜひ繁殖させてください。面白いですよ。メダカは絶滅危惧種と言われるぐらいですから、やってる人が少ないのですぐに地域トップリーダーになれます。そうして、メダカの銀行札幌支店を開設してください。生活が楽しくなり、異質の友人が増えますよ。小学校の5年生が1学期の理科でメダカを学習します。生命の誕生も同時に学びます。
うまく繁殖が出来るようになったら、先生のふるさとのメダカ北部九州型を差し上げます。但し他のメダカとは混飼は出来ません。メダカの銀行バンカーの掟です。

生まれた卵を採卵する Q70102

先のお話の温度と日照時間の管理でメダカを産卵に導くことができると思います。次は新しい世代新生幼メダカからの管理です。
ところでメダカの飼育管理・ノウハウで、技術的にクリアーしなければならない重要なポイントが、メダカのライフサイクルで5箇所あります。メダカ銀行のバンカーになるには、教養とは別にテクニカル項目をマスターし地域リーダーになります。コツをつかめば簡単ですが下記の5項目です。

  1. 温度と日照時間
  2. 採卵と孵化(難関1)
  3. 稚魚(幼メダカ)の餌やり(難関2)
  4. 稚魚(幼魚)の分離飼育
  5. 水の透明感を維持する健康水管理(難関3)
産卵

母メダカに産卵兆候が出てくると周囲から雄メダカが寄り添い、ヒレで抱きかかえるようにして産卵を促し、その産卵と同時に雄メダカが射精し受精卵が出来ます。一般的にその行為は早朝に観察できます。しかしその受精卵は、まだ母メダカのお腹にくっついています。それを母メダカは水草や藻の間を泳ぎまわって、お腹についているネバネバの卵の塊を、水草や藻に引っ付けて産卵を完了します。

卵の受難

大きいな池などでは、いろいろな所に卵は隠されて育ってきます。小さな水槽では、産み落とされた卵をすぐに拾い上げて、親メダカ群から隔離しなければ、すぐに食べられてしまいます。水槽で産卵させる場合に、その作業を怠ると、「卵を生んだのまでは見たことがあるが、子メダカが孵ったのを見ていない」と言うことになりかねません。

卵レスキュー(採卵保護)

親の腹についている卵ですら、食べられることがあります。産み落とされた卵は、見つけ次第別の水槽に移し、隔離飼育をしましょう。より多くの新生稚魚を採取するために、下記の要領で受精卵を採取します。それが毎朝の日課です。

水草・ハサミ切り取り法

水草や藻に産み付けられた卵は、その水草ごとハサミで切り取り、移動させます。

筆・ハケ取り法

卵を腹に付けている母メダカを網で取って、その腹から筆ハケ(絵の具の筆がやりよい)ではぎ取り、別の水槽の水草につける。水草や藻についている卵も、同様に移動できる。

浮き草・丸ごと移動法

「ホテイアオイ」などの浮き水草を置き、そのヒゲ状の根っこに卵を産み付けさせて、その浮き草ごと移動する。

擬似浮き草移動法

  1. 「太目の毛糸」を30cmぐらいに切ったものを、15本ぐらいを中央で折り曲げ、テルテル坊主風イカの足を作り、その4束ぐらいを針金ハンガーの切った棒にさして、水中につるしておいて、それを移動させる。
  2. 「シュロのほうき(ホームセンターで600円ほど)」を買って来て、シュロを1枚ずつにバラして、引き伸ばして、片側の先をホグし、草の根のようにして、反対側をステンレスの針金(24~26番)で縛って、イカの足を作って水中にぶら下げる(ステンレスの針金18番使用)。

ポイント

  1. 受精卵は水槽の底に付けずに、水草の上に乗っかっている方が孵化率が高い。
  2. 水温は、産卵水槽と同じ、温度差ショックを無いようにすること。
  3. 親の水槽を利用する場合は、2Lのペットボトルを底から15cmぐらいに切って、水槽のコーナーに洗濯ばさみで止めておく。又は、上から6cmぐらいの位置に、発砲スチロールをフロート的に貼り付けて、水面より6cmほど上口を浮かせておく。蓋として台所用品「排水口用ネット」をかぶせておく。(親メダカがジャンピングインするのを防ぐ)尚、ペットボトルに針で穴を30ばかり開けておいて、水の循環を作る。
  4. プラスチック製台所用「三角コーナーごみ取り」も使える。その場合、排水口ネットを外から付ける。
  5. 「浮き草・擬似浮き草」を使用する場合の、産卵のための一回の水槽内設置期間は、2週間です。移動先「孵化水槽」での設置期間は、4週間です。それゆえ、最低3セット準備する必要があります。私は、野外水槽ですので「ホテイアオイ」と「シュロの擬似浮き草」を使用しています。毛糸では成功していません。

新生稚魚(幼メダカ)への餌やり Q70103

産み付けられた受精卵は早ければ10日~14日間ぐらいで孵化します(水温による)。

孵化後の新生幼メダカは5~7日間お腹に付けた卵黄を吸収しながら生きています。つまり5~7日以降は自分で餌を食べられなければ死んでしまいます。ここが重要です。

新生幼メダカの餌の加工
メダカの餌は、ホームセンターで買うことができます。しかし、一般的に発売されている餌は浮き餌として作られていて、成魚用サイズです。幼メダカ~稚魚では、口の大きさから、それを食べることが出来ません。新生メダカに与えるには、それをすりつぶして微粉末にして、与えます。幼メダカ用にすりつぶした「微粉末の餌」を、親メダカにも与えて問題ありませんが、親メダカ用のエサを幼メダカに与えることは出来ません。
乳鉢又はコーヒーミール
新生幼メダカ用に乳鉢すり鉢で市販の餌をすりつぶして、微粉末にしましょう。コーヒーミールを使用して微粉末にすることも出来ますがコーヒーがまずくなります。
ポイント
  1. 微粉末にしたメダカの餌を、褐色の薬のビンに乾燥剤と一緒に入れて、保管をしておきます。
  2. 微粉末のエサを、幼メダカから親メダカまで、全てのメダカに与えています。
  3. 餌を与えるのは、ピンセットを利用すると便利です。
  4. 私は、「キョウリン飼育教材 メダカのエサ タナゴ・フナ 徳用」を、乳鉢ですりつぶして使用しています。
  5. エサやりの回数は少量・頻回が基本。最低1日2回です。時間があれば3回がいい。

稚魚(幼魚)の分離飼育 Q70104

基本的にはメダカは共食いをします。と言うよりも、浮んでいて動くもので口に入るものは何でも食べる。口の大きいもの(より大きいメダカ)が、その口のサイズに合うより小さいメダカを飲み込んでしまう。と表現するのが正しいと、メダカ達を弁護しておきます。

そのために孵化後2週間のグループを1単位とし(私はバケツを利用している)、7単位の分離飼育をすると体長約1.4cm以上のサイズの子メダカに成長する(20度Cの水温)。そのサイズに成長したものは動きも活発な為にほぼ他のメダカから捕食される確立が小さくなります。

つまり8単位目の水槽は子メダカの混合飼育場です。そのまま2cm以上のサイズになるまで待って親メダカの水槽に戻します。尚、そのときに体表の色別、奇形選別を実施し、それぞれに分離して別水槽に入れて管理します。

いずれにしろ自然界の大きなグループでなく水槽の中の交配系(インブリーデイング)であるので、多少の骨格形態奇形や黒色メダカ以外に、白・ブルー・黄色・オレンジ・赤が出ることがあります。これらも色奇形と言えます。もちろん赤メダカ群の中から孵化・出現する黒メダカとは意味が違います。「釈迦に説法」ですが、前者は近親交配の奇形出現率で、後者は雑種交配のメンデルの遺伝の法則の違いです。