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かた21動物病院

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質問箱

フィラリア予防薬、どれを選べばいいの? Q30522

フィラリア症予防の再勉強

毎年、フィラリアの予防の時期になると迷うのです。病院に行ってどの予防薬タイプが良いのか選ばなければなりません。錠剤とかキャラメルタイプとか、またそれぞれに金額も違うし、結局どれが良いのでしょうか?
教えてください。友人とも話しますが、良く分かりません。

田川市 Lレトリバー(4才)、ジョンのママ

これは良い質問です。「フィラリア症の予防」というのは大変重要なことです。最近はほとんどの方が予防をされるようになったので、ほとんど発症が認められなくなってきたことは確かなのですが、残念ながら毎年のようにすでに成虫を持っているワンちゃんが数頭発見され、成虫駆除を行うケースがあります。
またもっと残念なことにはすでに心臓が異常を起こし、腹に水分が溜まる(腹水症)ようになり食事も取れなくなって死亡するケースもなくなっていません。予防処置を取っていなかったか、またはその予防処置が中途半端だったか、のいずれかです。

フィラリア症は、他の病気予防のワクチン接種と同じように、しっかり予防しておけば安心できる病気なのです。しかしながら後でお話が出てきますが、この予防方法には落とし穴があって、「蟻の穴から堤防が欠壊する。」の例えとなるような事故もあります。
また、今年から新顔(スポットオン)も登場しておりますので、今日はそのことをお話しするのに良いチャンスだと思います。

さて、基本的なフィラリア症予防についての考え方と、予防薬の種類とそれらの予防プログラムについてお話しいたします。
「フィラリア症」というのは、蚊の吸血によって犬から犬へ媒介される病気で、その感染を受けると心臓または肺動脈にそうめんのような虫(フィラリア)が寄生します。犬はそのことによって赤いおしっこをしたり、セキをしたり、呼吸困難になったり、心臓病としての循環器障害を起こします。そして最後にはやせおとろえて死亡してしまいます。確実な予防処置を受ければ安心していられる病気です。しかしながら、蚊に絶対に咬まれないということは実際的に不可能なことですから、外で飼われている子だけではなく、室内にいる子もこの予防が必要になるわけです。

蚊の吸血によって、犬の体内に入った感染子虫は2~3ヶ月かかって2センチぐらいになり、それから血管に入って心臓や肺動脈に着いて、3~4ヶ月かけてそうめんほどの成虫になります。しかし、一般に「予防薬」とされているお薬で、「 この虫〔フィラリア〕」を殺せるのは、蚊の吸血によっての感染(体内侵入)開始から、1ヶ月を過ぎてのちから2.5ヶ月ぐらいまでの期間、2.5-1=1.5ヶ月間 のみです。 その期間に適切に「予防薬」が投薬されなければなりません。
ですから、この予防方法は「蚊に最初に咬まれて1ヶ月後から始まって、蚊に最後に咬まれた日から1ヶ月後まで実施する」必要があるのです。それが1ヶ月1回予防法の基本です。そして最も重要なのが最後の投薬日、つまり「蚊に最後に咬まれて1ヶ月後」の時期の投薬日なのです。
それは一般的には12月中頃に投薬されなければなりません。もしそれ(最後の感染子虫のグループ)が殺されなくて通過してしまった場合、翌年の4~5月まで次の予防薬は投薬されないし、もうその時期には成虫になってしまっていて、予防薬では殺せなくなっているのです。
同様のことが、各月に1回だけ内服させる予防法で途中投薬し忘れにより発生することでも理解できると思います。

さて、次に予防薬の種類です。

  1. 毎月1回投薬法
    「錠剤」「粉剤」「チュアブル(噛んで食べるタイプ)」、そして今年から「スポットオン(背中に滴下タイプ)」ができました。どのタイプでも予防効果は同じで、的確に実施されれば確実な予防が期待できます。「錠剤・粉剤」に比較して、「チュアブルタイプ・スポットオンタイプ」は投与方法が簡単です。
    欠点は、あなたが月1回の投与期日を忘れてしまうことがある。ということは、月1回方式ではどの方法・どのお薬でも的確に定められた日に投与することを忘れてしまう危険性を、除外することはできません。
    毎年4月に「さぁ、今年もフィラリア予防を開始してください」と言ったら、「先生、毎月きっちりとお薬をあげてるのに、なぜか2個も残っています。先生、昨年は2個多く私にくれませんでしたか?」というような話が毎度出てきます。ダメデスヨ!!
  2. 注射による予防法(ワクチン方式)
    そういう「ウッカリ屋さん」のために、注射方式が開発されました。1回の注射で6ヶ月間の予防効果があります。どうしても6ヶ月間では私どもの地域では短かすぎますので、1回か2回(私の地域では8回投薬予防が基本ですので、6ヶ月間効果のある注射1回プラス2回投薬となります。)の追加投薬をするか?または6ヶ月間の予防注射を2回受けることで1年間の予防プログラムとします。
    この方式が絶対にフィラリア感染子虫の殺しもれがないということになります(ただし、6ヶ月後の再注射を受けなかった場合は話は別です)。そういうウッカリ屋さんのために、1年1回注射をお勧めしている獣医さんもいらっしゃいます。

注射による予防処置の欠点は、0、03%ぐらいの確率でショックを起こす犬がいるということです。もちろん、この0、03%のショック発生確率というのは、一般に使用されている伝染病予防のためのワクチンにおけるショック発生確率とほぼ同じで、特に危険というものではありませんので、私は注射によるフィラリア予防をお勧めしております。

これは利点のほうになりますが、注射方式で(1年2回方式にしろ、1年1回方式にしろ)1年間注射予防を行う場合、その開始時期は4月とか5月とかの特に混み合っている時期を避けて、1月とか2月とか3月などの時期にスタートしても良いのです。
1年間12ヶ月ですから全く同じことなのです。つまり、いつからでもスタートできるということです。

この方式での予防先進国であるアメリカやオーストラリアでは、次のように移行しなさいと指示されています。

注射方式での予防開始について

  1. 月々予防方式を取っていた犬は、最終投薬の1ヶ月以内に注射方式に移行すること。
  2. 生後6ヶ月齢未満の犬は体重が変化するので、注射方式による予防は勧められない。
  3. 生後6ヶ月以上9ヶ月齢未満の犬は、6ヶ月間効果のある注射予防を受けること。そして次の更新時(6ヶ月後)に1年間予防の注射を受けること。
  4. 1年間予防の注射は、9ヶ月齢以上の犬に勧められる。

とされています。

いずれの方式にしろ、的確な予防プログラムで完全に実施されれば、どの予防薬を使用しても同じ効果があります。
重要なことは、毎月1回投薬法の場合、一年の最初に蚊に咬まれた日より1ヶ月後に最初の投薬を行い、一年の最後に蚊に咬まれた日より1ヶ月後に最後の投薬を行うということなのです。
問題点は「いつが最初で、いつが最後に咬まれた日なのか?」の判断なのです。あなたは判りますか?地域・環境によって大きく違ってきます。これを考えているから最近頭の毛が薄くなってきました。だから注射で一発解決といきたいのです。かた先生としては!!

よろしくご検討ください。この原稿を書いている時にはもう蚊が飛んでいますよ。手遅れにならないようにしてください。

かた先生推薦の、1年8回投与プログラム(毎月1回投薬法の場合)
注/この投薬時期は地域によって違いがありますので、ホームドクターにご相談ください。

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