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かた21動物病院

人とペットの良好な関係を願う

質問箱

マウント行為は性力?勢力? Q30607

メス犬なのに腰ふり犬です。どうして?これって有りですか?

T.プードル4才の♀です。私の腕や足にしがみついて腰をふります。

今まで2回友人の犬と交配してお産をさせました。今思うと交配させてからこのように私の手足を捕まえて腰をふるようになったように思います。

それでそのことをオスを飼っている友人に話すと、そのオスも友人にはしているようです。オスがそのような腰ふり行為をするのはなんとなく理解できるのですがうちの子はメスです。メス犬なのに腰をふるって有りですか?

どうして急にオス犬のようなまねをするようになったのでしょうか?人前でされるとチョッと恥ずかしいので「止めるように」と言うのですが止めません。どうしたらいいのでしょう?教えてください。

本渡市 T.プードル4歳マーサのママ

これはいけませんね。人の腕や足、はたまたぬいぐるみなど、もちろん犬同士でも、あたり構わず乗っかり行為・腰ふり行為(マウント行為)をやっているのをよく良く見かけます。 もちろん私どもの病院に来院される飼い主さんに対してワンちゃんが待合室でやっているのを時にみかけることもあります。このような腰ふり行為は犬が人にする好ましくない行為の一つでもあります。私かた先生であってもやっぱりうちの子が人前でそのような行為をしたとしたら、あなたのように「止めて」と言ってしまうかもしれません。しかしかた先生の飼犬ウーちゃんは人にした事はありません。

性力的行為と勢力的行為 Q30607_001

このような犬が他の犬に対して腰をふる行為には二種類あって、私はその一つを性力的マウント行為もう一つを勢力的マウント行為と表現して説明しています。この二種類の行為は行為だけを見ていると全く区別は付きません。犬がこの行為を行っている対象物を見て判断するのです。だからあえてセイリョクテキ行為とセイリョクテキ行為と表現しているのです。耳で聞いても区別がつかないでしょう。

性力的マウント行為 Q30607_002

まず相手のメス犬が発情をしていてフェロモンを出している時に、そのメス犬に対してオス犬が行う純セックス的行為があります。交配及び交配類似行為です。これを性力的マウント行為と言います。これは自然の動物のオスの生殖的(繁殖的)行動であって一般的には普通の行為と見なされます。メス側からしてこのオスのマウント行為の許容は排卵時期の数日間(3~5日間)だけでそれ以外は許容しない。一年を通じてもほんの数日間だけがこのカテゴリーに当てはまるものです。

勢力的マウント行為 Q30607_003

もう一つも行為的には全く類似行為なのですがその対象物がオスであろうがメスであろうが、ときには子犬であろうがまた子犬同士であろうがこのマウント行為をします。これは優勢劣勢に関する支配欲から来る順位確認的デモンストレーション行動で、二頭の間または複数頭間、群れ社会での地位(順位)の確認的行為です。

先の生殖(繁殖)のための性(セックス)的行為とは目的・意味的に明確に違いがあります。その行動を勢力的マウント行為と表現しています。そのために一方または双方でその順位確認が必要な時にはいつでも見受けられる行為とも言えます。ですからオス同士でもメス同士でも子供同士でも複数頭(その犬からすればそれが人間であっても。しかしそれは間違い。)いれば、その支配欲からその行為を行うのです。これは犬語です。

このマウント行為をする動物は、犬社会だけではなく群れ社会を作る動物達には必須の行為です。たとえばサル社会でも良く見受けられます。つまり後ろから乗っかかっている者が乗っかかられている者に対して、「自分はオマエより強いんだ!文句あるか?」という優勢・劣勢を表現するための地位を確認しあう勢力的な優劣を示す行為です。文句があれば逆に同様な行為を行うか、相手にすぐにノーの意思表示(噛み付く)をしなければなりません。これが犬社会のルールです。

行為を行っている方が行われている方を下位に見ていることを上位の者が下位に示している行為なのです。ですからこの行為は雄雌のセックス的行為関係ではありません。発情期以外であれば雌が雄に対して行っても不思議ではないのです。野性の集団では日常的に挨拶代わりにある行為なのです。それを示すことで群れの順位統制(上位から下位への順位)を決めているのです。

自立と順位確立への目覚め Q30607_004

というわけで交配させてから始まったのなら、お宅のワンちゃんが他のワンちゃんと接触することで、またあるいはそのオス犬がその飼い主にしているのを目撃して、ある日自分の順位に目覚めあなたの家庭内を自分の群れと判断しその群れの中での自分の順位ポジションの確立に立ち上がったと言えます。

あなたは、犬にナメラレているのです Q30607_005

もしあなただけに対してそのようなマウント行為を行っているのなら家庭内で自分があなたより優勢な順位を確立しようとアピールしているのです。つまり犬からマウント行為を仕掛けられるあなたはあなたの飼犬であるマーサにナメラレているのであります。

そのマウント行為を人前でされたく無いのなら徹底的に「ノー」と拒否続けなければなりません。たとえその子が雄であっても明確にしつけとして拒否すべきです。

順位アップを狙って来るのですから「○○ちゃんイヤァ~ネやめなさい」なんて生やさしいものではなく、明確に大きな声で「ダメ!」と指示することです。ばらくの間は朝、昼、晩、お散歩に行く前、食事を与える前など、逆に背後をつかまえて自分の腹の下に抱え込んだり、押さえ込んだりすることです。

いずれにしろ勢力の順位アップを認めてはいけない Q30607_006

人とペットとの良好な関係は勢力的順位が対等であるということではありません。また動物の世界に対等などの順位概念はありません。地位的に上か?下か?、強いか?弱いか?が重要なのです。神代の昔に人が犬を家畜として飼い始めた頃、人の祖先が犬の祖先に食べ物を与え犬がそれを食べた時から人が犬より順位は上に位置することになったのです。ですから犬が人に対しマウント行為(押さえつけて腰をふる行為)をすることを認めてはいけないし、もしした場合は明確なダメ!の教育、しつけをしなければなりません

背後ダッコ・仰向けに寝かしてお腹ナデナデ・オスワリ・マテ さて、どうしたらいいの? Q30607_007

  1. 抱きついてきたらすぐさま「ダメ!」と大きなハッキリとした声で止め、すぐに回転(ターン)して振り払ってください。逆に背後から抱っこをします。シッカリ10秒間以上静止させてください。嫌がっても続けます。動物の世界では背後側の方が強い者と言う意味があります。
  2. その後で犬をおろしてオスワリとマテをさせます。誰がボス(=指示を出す)かを明確にします。(できたらマズルコントロールを実施することもお奨めします)オスワリとマテが出来たら次へ進みます。
  3. 犬を仰向けに寝かしてお腹ナデナデをします。その時に首も伸ばしましょう。首もナデナデです。首と腹は自分のウイークポイント(一番弱い場所)です。そこを相手にさらけ出すと言う事は自分がリラックスできた時、またはギブアップした時、闘争精神がうせた時にするポーズです。

上記のステップを1日4回以上実施してください。朝、昼、晩、散歩の前、食事の前などいい機会です。「うちの子はオスワリ、マテくらい出来ています。」と言う方はけっこういます。出来ると言うのとさせる、あなたが指示を出して常に日々させているというのでは根本的に違います。あなたがボスと認めるまで続けねばなりません。飼犬からマウント行為を仕掛けられているあなたは自分の犬にナメラレテいるのです。きっぱりケジメをつけてやってください。しつけです

人とペットとの良好な関係を願うかた先生からのお願いです。