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かた21動物病院

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質問箱

「猫の血尿・膀胱炎・膀胱結石・下部尿路疾患(FLUTD)・オシッコが出ない」どうしたらいいの? Q33101

ミックス猫オス3歳去勢済み。去年の11月末に最近トイレと違う場所で何度もオシッコするようになり、ニャーニャーなくのでおかしいな?と思っていたら、おしっこに血が混じっていました。病院にいったら膀胱結石と言うことで治療を受けて、今は治まっていますが再発することがあるとも聞いています。かた先生のコメントに飲み水の量と関係があると書いてありました、ためしにスポイトで水を飲ませてみたのですがうまく行きません。教えてもらおうと時々ホームページのぞいていているのですがなかなか出てきません。催促を含めて手紙を出しました。猫に水をより多く飲ませる方法を教えて下さい。

幸の飼い主さん

すみません、当院はお正月も診療しているものですから、忙しくてその次のQ&Aサボっておりました。催促のお手紙ありがとうございます。猫の膀胱結石ですね。説明いたします。まずは貴方も読まれたこの前のショートコメントを再表示しておきます。

前回 ショートコメント

ニャンワン達のこの時期に特に気をつける病気ですが、それはオシッコ系の病気です。膀胱炎、尿路結石、膀胱結石等の病気です。それらの病気群をひっくるめて、下部尿路系疾患と呼んでいます。詳しいことは別の機会に話しますが飲み水の量に関係していることが分かってきています。寒くなってペットたちの水を飲む量が少なくなって、オシッコが濃くなる事がこの病気の発生に重要に関係しているのです。ニャンもワンも「冬だから熱いお茶を!」と言っても飲みません。特に、猫はネコ舌ですから。もっと水を飲ませる方法については、近日に「教えて先生21質問箱」で紹介します。 毎日ニャンもワンも朝一番のオシッコの出し姿、出ている秒数、量、色などチョッと注意してあげて下さいね。この時期に結構ありますよ。先週など当院で5件ありました。皆で見張り番ごっこ。予防は、水を多く飲ませることです。

尚、これはチョッとサボっていたお詫びを含めて、実務的ノウハウ入りのかた先生流にかなりがんばった長文説明です。各項目にタイトルを先に示しておきますので、お忙しい人は御自分の知りたい部分だけでもお読みください。下記の順序で解説しています。

だいぶ長くなりました、この辺で失礼します。それでは貴方から、ニャンの幸ちゃんによろしくお伝えください。

どんな病気なの? 症状と語句の説明 Q33101_1

  1. 排尿痛 血尿 膀胱炎 膀胱結石 下部尿路疾患
    猫がトイレに何回も行く、しゃがんでいる姿を何回も見るが、その割りにトイレにオシッコの塊が少ない。トイレでの鳴き声がおかしい。トイレ以外の場所でもする。オシッコに血が混ざってるのを見た。これ全部、排尿痛の症状です。 オシッコが出にくい、出そうとしても痛くって出せない。それを鳴き声で訴えているのです。オシッコに血が混ざっていたら血尿です。膀胱壁が痛みを伴って腫れてきて排尿が困難になってくると膀胱炎です。そして、その膀胱の中にミネラル成分の塊ができてしまったら膀胱結石といいます。そしてそれらの症状をひっくるめて下部尿路疾患FLUTD)と言うのです。
  2. 猫は痛いんです
    私はこの種の病気になったことがありませんが、昔、海外で獣医師として仕事をしていた時期に人に頼まれてお薬をあげたことがあります。その人たちに言わせると「かなり痛い病気」のようです。 ですからこの病気は人でもニャンでもワンでも痛いのです。こんな症状があったらすぐに病院にいって治療をしてやってください。
  3. 吐き気が出だしたら要注意 閉塞性下部尿路疾患
    ほっとくと進行してオシッコが出なくなることもあります。何度もトイレに行くがオシッコが出た様子が無い。そうしてこの病気で吐き気が出だしたら要注意です。 猫が落ち着かなくなって触られるのを嫌がり物陰に隠れている。その上陰部をぺちゃぺちゃナメっている。この症状はシッコが出なくなった初期の症状で閉塞性下部尿路疾患と言います。
  4. オシッコが止まったら48時間以内が勝負 高窒素血症 死亡 慢性腎不全
    続いてすぐに食欲が無くなり、吐き気、うずくまり、体温の低下が起こります。 オシッコの製造と排泄がうまく行かず、血液中に窒素成分とアンモニアが溜まってきている高窒素血症になっているのです。オシッコが止まって24時間~48時間でこの状態になります。早く病院に行かないと、死亡する確率があがってきます。 また命が助かっても慢性腎不全になってしまって一生涯しんどい事になります。

治療について Q33101_2

病状の進行状況によって、治療対応の方法は異なります。

  1. オシッコがまだ出ている場合
    なんと言っても痛いのですから鎮痛処置そして膀胱の炎症を取る作業があります。また痛くて緊張があると出したいオシッコも出す事ができません。 緊張緩和をはかり尿道を広げる処置も取られます。水をいっぱい飲んでオシッコをいっぱい出させます。
    治療を受けて症状が安定しても2週間は病院とお付き合いしてください。
    (注:「より多くの水を飲ませる方法」については、後述しています。)
  2. フードも変更しなければなりません
    言いにくいことなのですが、貴方が良いと思って今まで与えていた食べ物が貴方の猫ちゃんにあっていなかったと言う事です。
    この病気のための専用のフード(療法食)があります。この療法食に変更する必要があります。これらの療法食はかなり研究されています。いいものですのでお勧めします。(このホームページからも購入できます)
    ヒルズならS/dまたはC/dマルチケア、太っている子にはW/dがお勧めです。それぞれに缶もパウチもあります。
    ロィヤルカナンならPHコントロール0がいいでしょう。
    ドクターズケアーならストルバイトケアーを使用します。
  3. オシッコが出ていない場合、麻酔をかけます
    先に御説明いたしましたように、オシッコが出なくなったら(閉塞性下部尿路疾患:へいそくせいかぶにょうろしっかん)、24~48時間で緊急事態に突入いたします。高窒素血症になる前に速やかに外部からパイプを通して尿道を開通しておく事が重要です。そのとき手術のときと同じように「麻酔をかける」と担当獣医師が宣言します。速やかに同意してください。
    2年ほど前のお正月にこのことがあって、飼い主さんが麻酔をかけることに同意せず、2時間も時間を無駄にしたことがあります。なんぼなんでもお正月の夕方の2時間のロスはきついです。治療に時間のかかるのはイタシカタナイノデスが言葉のやり取りに2時間はしんどいです。(すみません、チョッと愚痴を言ってしまいました。)
    麻酔はパイプを通すのに必要な処置です。猫もイタイのです。また早く尿道を開通しなければなりません。尿道にパイプを設置した後、すぐに膀胱を洗浄します。一時間以上の時間が必要です。御協力をお願いいたします。
  4. 点滴をしなければならない事もあります
    脱水があったり、血液中のミネラルバランスに異常を起こしていたり、「高窒素血症」になっていたりしている事が多々あります。そのときには全身状態の改善のために輸液療法として点滴をすることになります。時間がかかります。入院することになるかもしれません。このときにも飼い主さんの速やかな同意が欠かせません。御協力ください。
  5. 結石の種類によっては外科的手術でしか取り出せない物があります
    膀胱結石・尿道結石には大きく分けて2タイプあります。
    1.  フード変更やお薬でできた結石を溶かす事ができ、オシッコとして流しだすことができるタイプのもの(7歳以下で多い)。
    2. フード変更やお薬では溶かすことができない結石で、外科的手術でしか取り出せないタイプもの(7歳以上で多くなる)。
  6. それぞれの2タイプの結石の違いをどうして見分けるの?
    そんなことかかりつけの先生の御判断に任せておきなさい。
    簡単には、まず病院で二週間ぐらいの治療を受けてオシッコを出せるようにしておく。同時にフードを変更し結石を溶かす。そのフードを二ヶ月間続ける。二ヶ月してもその結石が溶けていなければ手術になるでしょう。(どうですか?こんなので!)

どうしてこうなったの? Q33101_3

  1. どうしてこうなったの?
    猫はもともと砂漠(乾燥)地帯の水分摂取のチャンスが少ない地域からの出身者なのです。身体の構造上、水分を節約するためその排泄量を節約する性質を持っています。つまりオシッコを濃縮して排泄してしまう性質があるのです。早い話が今流行の水分エコ動物なのです。しかしその水分節約エコがこの病気を作ってしまうのです。
     オシッコとして排泄される水分と言う物には、たくさんのミネラルが溶けた形で含まれています。それが溶かすほうの水分量が減ってくると結晶化されて膀胱に沈殿してきます。その沈殿物が固まったものが結石です。それが膀胱中でコロコロして膀胱の壁を傷つけたり、くっついていたのがはがれたりしたときに、出血するのです。つまり猫のオシッコが濃くなる事がイカンのです。
  2. 下部尿路疾患と冬の関係
    猫は正常には酸性のすっぱいニオイの濃縮されたオシッコを犬に比べて高圧力で勢いよく排泄します。ですから細菌感染には犬より強いのですが、気温が低下して寒くなってくると、猫の運動量が少なくなります。それにつれて飲水量が減ってきてオシッコが濃くなるのです。それで下部尿路疾患と言う病気が冬に多く見うけられるのです。つまり猫は飲水量を節約するエコな性格と言うよりも水すら飲もうとしないズボラな性格と言うほうが当たっています。
    年末になってきて忙しいときに猫の手を借りたいと言っても、私の猫などはただノッシノッシと歩いているか、保温マットの上でゴロゴロ寝ているだけで、「早くそこのけ踏みつけるぞ!」と脅してもそ知らぬ顔をしています。冬の猫はカタズケ仕事の邪魔になっても役にはたちません。手など貸しません。

予防と再発防止 Q33101_4

  1. 猫により多くの飲み水を取らせる方法
    この病気の発生が飲み水量と関係があることは何度もお話しました。水分をしっかり取ってオシッコをいっぱい出すために、人間ならお医者さん公認でビールを遠慮なく飲めると言うステキな病気ですが、猫にはビールを飲ませることができません。酔っぱらって高いところから落ちては困るからです。その代わり別の方法を教えて先生です。魚の香りのスープ、お風呂の湯、飲み水桶をホウロー製に変える、飲み水桶の置き場所数を増やすがお勧めです。
    缶・パウチのフードを与える
    ドライフードはカビがきたりしないよう又保存性が良いように水分含有量を10%未満に設定しています。しかし缶フードは一般に75%以上、パウチタイプのフードでは80%以上の水分を含んでいます。これらのフードはこの種の病気の対策として有効です。しかし経済的ではありません。
    猫の手も借りたいときにも役に立たない可愛いばっかりのブリッコ猫には正直言って私はもったいないと思います。病み上がりのフードの切り替えのときにドライフードのトッピングとして御利用するのなら許可します。
    氷をなめさせる
    何頭かに試しましたがうまくナメってくれる子よりもナメってくれない子のほうが多い。
    それで飼い主さんがアイスクリームが好物なので猫にアイスクリームを与えたら結構よく食べてくれました。しかしそれ以後も二人でしょっちゅう食べていたら猫も飼い主も後日糖尿病になってしまった例が実際に有りますので、これは勧められません。
    薄~い薄~い魚の香りのスープをアイスキューブで作る
    白身の魚、鯵でも良い、三枚下ろしの真ん中の骨の部分(両サイドの実の部分は貴方が食べる)をお水350ccぐらい入れた鍋でゆっくり煮ます。味付け無の素煮です。お湯が沸騰したらすぐ切って冷まします。雑物が入らないように濾して冷凍庫にあるの氷を作るアイスペール(100均ショップで買う)にいれて、冷凍庫でアイスキューブの形で保管する。
    そのうちの一個を毎日の飲み水容器でその水に入れて溶かして使用する。薄~い薄~い、魚の香りのスープです。同じようにして作る薄~い香りのチキンスープでも良い。但し絶対に味付けはしないで下さい。意味が違います。素煮です。
    お風呂の湯
    上記の魚の香りのスープの方がきれいですが、めんどうくさがり屋の貴方、いい事教えてのかた先生です。貴方だけにコソ~ッと教えてあげます。内緒ですので絶対人に言わないようにしてネ。
    それは貴方の入った後のお風呂の湯です。それを洗面器に取っておいて、翌日に猫の飲水として与える。少々汗をかくぐらいにゆっくりと浸かった後のお風呂の湯が良いのです。貴方の薄~い香りスープです。
    私には分かりませんが猫や犬には分かるのです。これは結構うまく行きます。よく飲みます。当院でのこの病気を経験した猫の飼い主さんにはこの方法が人気があります。
    飲み水桶をホウロー製に変える
    なぜか?分からないのですが猫も犬も飲み水桶の材質に好みがある様に思います。特に猫はハッキリしています。ホウロウ製の器に入れた水のほうが好きです。プラスチック製・陶器製・ステンレル製の飲水器より好んでよく飲みます。ぜひお試しください。
    飲み水桶の置き場所数を増やす
    通常、飲み水桶の数はフード桶の横に一個が一般的ですが下部尿路疾患の猫にはもっと増やしてやる必要があります。
    ドラえもんのどこでもドアー的に飲み水桶の置き場所数を四箇所以上にセットします。どこでも水桶があって飲みたい時にいつでも飲めるいつでも水桶がそばにある的にセットします。たとえばフードのそば、昼寝をしている場所、家の中での猫のいつもの通り道(二箇所ぐらい)、そしてトイレの近く(トイレから70cmぐらいは離す)。
    まあ~大好きなニャンのためにいろいろ考えてあげるのも楽しいものです。猫の飲み水量がアップしますよ。
  2. この事も気にかけて欲しい。その他の予防措置
    トイレを清潔に
    猫は結構きれい好きです。トイレが汚れていると我慢してしまう事があります。
    汚れているのを見つけたらすぐに取り替えてあげましょう。この意味からしてトイレの猫砂を一週間換えなくても良いと言うタイプのものは、この病気になってしまったら再発予防のために変更してやってください。勿論、使用している猫に何の不都合も無ければその使用に問題はありません。
    トイレの数は、飼育頭数プラス1以上の数
    複数頭の猫を飼育しているときには必ずその頭数より一個以上多い数のトイレを用意する必要があります。たとえば4匹の場合は5個または6個用意してください。理由は”トイレを清潔に”に同じです。
    猫タワー・キャットタワーをセットする
    猫はその本来的性質上高いところにいる事で精神的安定、落ち着きを得るものです。窓から外を眺められるぐらい。またタンスの上に上れるぐらいまで、階段状にステップを作ってあげることも良いことです。猫専用のキャットタワーが市販されています。
    簡単には市販のカラーボックスを3~4段に組み立てて、階段状に作っておく方法があります。但し、それぞれをシッカリ固定して於いてください。崩れると猫はパニックになり逆効果です。キャットタワーを含めてシッカリ固定して倒れないように又、滑らないように工夫してあげてください。
    猫の体重減量に、努力してください
    最後になりますが、もし貴方のニャンが太っているのなら体重の減量をに努力しましょう。これはリスク回避と言うことです。
    肥満は直接的にこの下部尿路疾患の原因ではありません。しかし肥満は下腹部に肥満による脂肪性の圧力をかける事になります。それは尿の排泄路に圧力を加えて尿道を狭くして、小さな結石まで尿道に留めてしまうことになります。結果的に尿の排泄を妨害し被害をより大きくしてしまいます。だからこの教えて先生を利用して減量しましょう。
    きっとできる。貴方ならできる。「イエス アイ キャン」でっせ。いざとなったら「助けて先生 かた先生」にリクストしてください。