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かた21動物病院

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質問箱

子犬の初めてのエサやりどうするの? Q108001

かた先生流エサのやり方。不断給餌法(ふだんきゅうじほう)

10日前にMダックス(45日齢)をペットショップから購入してきました。ドライフードとミルクの粉も同時に買ってきて、その時の指示でドライフードは20粒を湯もどしして、ミルクの粉を缶の中のスプーン一杯分ふりかけて食べさせています。
それを1日4回与えていますが、子犬はよく食べてはいるものの、あまり元気がありません。下痢はしていません。心配でペットショップに電話で聞いたら「移動のストレスだろう。暖かくしてやってください。」と言われました。
寝てばかりいて今日はフラフラしているようです。病院に行ったほうが良いでしょうか?

福岡市 新米ママ

ア~、あなたね、その餌のやり方では子犬は栄養失調で死にますよ。めずらしい人ですね。 ドライフードの粒を数えて与えている人は初めて聞きました。子犬は病気でもなく、移動によるストレスでもありません。単に与えられるフードの量が少なすぎて栄養失調になり、死にかけているのだと思います。これを業界用語で飼養管理ミスによる事故といいます。
すぐにフードのやり方を変更してください。もし低栄養が続いて低血糖状態になり、ドライフードを食べる体内エネルギーが無くなっているようであれば、すぐに動物病院に行って高エネルギー食で栄養補充する必要があります。緊急の血糖値を上昇させる方法をとるかもしれません。後で述べますが2週間近くもその子犬は必要栄養量の半分以下のレベルしか採っていない状況のため「フラフラしている」のです。その子もあなたもあわれな状態です。
緊急栄養状況の改善については病院の先生におまかせするとして、あなたの餌のやり方がどれだけ誤っていたか?の反省と、初めて子犬が来たときのかた先生流エサのやり方について説明します。
まずあなたのワンちゃんですが文面から「45日齢で買った」とされていますので、M・ダックス、45日齢、1.0~1.2kgぐらいの体重と考えます。すでに2週間ぐらい経っているので1.5kgぐらいと思うのですが、栄養失調のため1.0kgかもしれません。ですから基本的条件としての体重を1.2kgと仮定して、話を展開しましょう。体重1.2kgの子犬の最低必要kcal(キロカロリー)は1日あたり241kcalです。もしあなたが子犬グロース(ヒルズ)を使用していたとしたら、そのグロースフードは100gあたり380kcal(1gあたり3.8kcal)のエネルギー量です。
あなたの餌やりの量でグロースフード20粒の重さは4.51gですから、そのエネルギー含有量は17.13kcalです。また粉ミルクはゴールデンドッグミルクの場合は100gあたり522kcal(1gあたり5.52kcak)のエネルギー量です。あなたの餌やりの量のドッグミルクスプーン1杯分は2gであり、そのエネルギー含有量は11.04kcalと計算されます。あなたの子犬が一回の食事で摂取できるエネルギー量合計は28.17kcalです。それが1日4回与えられて112.68kcalということになります。
つまり、ワンちゃんの1日必要エネルギーが241kcalに対し、あなたは半分以下の約113kcalしか与えていなかったことになります。この状態が1週間以上も続けばその子犬が栄養失調でヒックリ返っても何の不思議でもありません。しかも子犬というのは日々増体しつづけなければならないのです。241kcalでなく、実際は260kcal程度必要とされるのです。

参考:子犬の1日当たりの必要エネルギー量とドライフードの給与量 Q108001_001

子犬の体重
(kg)
子犬(4ヶ月齢未満)
体重1.0~2.0kgの
最低必要エネルギー
量/日(kcal)
子犬用フードの
給与量/日(g)
例:ヒルズグロース
100g当たり380kcal
1.0 210 55
1.1 226 59
1.2 241 63
1.3 256 67
1.4 270 71
1.5 285 75
1.6 299 79
1.7 313 82
1.8 326 86
1.9 340 89
2.0 353 93

この表の見方
子犬用フードの給与量/日は、例えば体重1.2kgの子犬では1日当たり63gですが、これは63粒という意味ではありません。フード63粒の重量は14.2gです。63gのフードとは280粒です。
フードのkcal量や一粒の大きさ重さは各フードメーカーによって違います。フードの袋に表示されていますので確認してください。

そもそも何回も言うようですがドライのドッグフードを粒数を数えて与えている人がいることを私は初めて知りました。几帳面な性格それはそれで結構なことです。上記表に記載しておきましたが、本来1.2kgの体重である子犬はドライのドッグフードを1日あたり63gの量を与えられるべきで、決して63粒ではありません。ちなみに63gというのは280粒です。
毎日数えるのも大変でしょう。また子犬の体重はM・ダックスでも日々30~35g増体するものです。それを粒で調整していくのは大変です。

それで今回はかた先生流の子犬へのエサやり方法を伝授いたします。

かた先生流子犬への餌の与え方 Q108001_002

不断給餌法(ふだんきゅうじほう)
  1. 子犬到着前の準備
    • 子犬用ドライフード2kg程度
    • 犬用食器。直径14cmのステンレス製3個以上
  2. 子犬到着時~1週間
    • 到着した時には子犬にも多少の疲れがあるため30分くらい休ませてあげましょう。
    • まずお水を与えます。
      食器にその5分の1ぐらいの量の水を入れて子犬の近く(10cmぐらい)に置きましょう。5分程度待って子犬が飲まない場合は指に水をつけて鼻先から上口唇をチョット濡らしましょう。子犬はペロペロとナメ始めます。初日には水100ccにティースプーンすり切り一杯の砂糖またはシロップを入れると良いです。これで子犬は水の味とその水の場所を覚えたわけです。30分間ぐらいまた休ませてください。
    • さて餌やりです。
      湯もどしドライの皿を用意します。
      一般的には子犬は生後6週齢を越えて7週齢頃に母親から離れてペットショップに出ています。もちろんその頃には自力で歩き母親の食べているフードをぬすみ喰いしたりして基本的な離乳は済んでいて、自分でフードを食べられる状態になっています。
      体内は生理的にもドライフードを食べられる状態ですので直接ドライフードからスタートさせても問題ありません。しかし水の飲み具合や移動ストレスなどに注意してドライのドッグフードに熱湯をかけ湯もどしをした後、指をフード皿に入れて温かみのあるふっくらとふやけた状態になっていることを確かめて与えましょう。フードの粒をつぶさないでください。もちろんその隣のフードの皿にはドライのフードを湯もどししないでそのまま置いてください。そしてその隣には水の入ったフード皿を置いておくことを忘れないでください。3~4日もすればドライフードを主に食べていることに気付かれるでしょう。
    • ドライフードは置きっぱなしです。「湯もどしフード」を与えるのは長くて5日間くらいです。子犬が来てから1週間以内でドライフード一本に切り換えてください。つまり6日目にはドライフードの皿のみとなります。もちろんミルクなどは病気やよほどの虚弱な子犬でないかぎり不必要です。早くドライフード一本にして、しっかりと歯・アゴの骨格系の発達をうながしましょう。
  3. その後の1ヵ月半(3ヶ月齢ぐらいまで)
    ドライフードの不断給餌
    フードはドライフードのみです。水はいつでも飲めるように入れておいてください。ドライフードも1日量の2倍くらい以上の量をフード皿に入れておいてください。少なくなったら上にフードを足してください。ワンちゃんは食べたいときに自由に食べて(自由採食し)、その内に自分でフードの喰い込み量を調整しはじめます。喰いすぎることもありません。現在のドッグフードは宇宙食のようなものでドライドッグフードと水で栄養は足りています。ただしフード皿は3日に1回は洗ってやってください。夏でもこの方法で大丈夫です。
  4. その後の2ヶ月間(4ヶ月齢~5ヶ月齢)
    間欠給餌法
    そのままの不断給餌を続けても良いのですがそろそろ歯の生え変わりが起こりますので喰いムラが発生しはじめます。その少し前ぐらいからフードを一時無い状態にしてください。 つまり朝1時間くらいフードを給餌したらフード皿をさげます。また昼に1時間フードを給餌したらフード皿をさげます。夜にも同じようにします。
    歯の生え変わりの間は、食欲があったり無かったりします。その喰いムラ(食欲のムラ)があっても、いっさい構わないでおきましょう。これは体の具合が悪い病気ではなく、生理的な変化です。ここで甘やかしテ他の食物をやってしまうと、以後「食べなければもっとおいしいものがもらえる」と思うワガママな子になってしまうのです。 子どもは厳しく育てましょう。
  5. 6ヶ月齢以降は2回給餌
    先の3回給餌を2回給餌にしてください。つまりお昼の食餌ぬきです。体型に注意して太りすぎをコントロールしていくようにしましょう。フードの給餌時間も30分以内で食べてしまうようにしましょう。その後も2回給餌を維持していくほうが将来病気になりお薬を与える時に通常1日2回投与するため2回給餌が便利です。

この方法で手間がかからずフードの給与目安も気にせず十分な栄養をワンちゃんに取らせることが出来ます。不断給餌方法は幼少の子犬には良い方法です。