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かた21動物病院

人とペットの良好な関係を願う

質問箱

動物病院選び!!ホームドクターを持とう。 Q30609

ホームドクター、主治医、専門医をどうやって探す?「おばちゃん、そらチャイマッセ」とかた先生から言っときます!

この度、福岡県内に引越ししてきました。シーズーを2頭飼っています。以前、大阪に住んでいたときは友人と相談して評判の良い獣医さんを3軒ほどかけもちし、何かあったときに3軒の内のいずれかに行けるようにしていました。しかし福岡に来て何軒かに電話してみてももう一つフィ-リングが合わないのです。たまたま見たかた先生のホームページでどうも大阪出身の先生のような気がしてお手紙を書きました。
福岡でうちの子のいざと言う時のための名医を探しています。どうぞ良い先生を紹介してください。

直方市 元大阪のおばちゃん

わざわざお手紙いただきまして大変ありがとうございます。いっぺんうちの病院に来てもろた方がええのんですが、まあ車で一時間ほどかかるんでこのまま答えときます。ご推察の通り私も元大阪で昔はおにいちゃんと呼ばれていましたが、今はおっさんです。同じ大阪弁が抜け切らない福岡県在住者として元大阪のおばちゃんにあなたに選ばれる(?)病院側の立場から遠慮なく言わせてもらいます。
まず動物病院を選ぶ?のにあんたのように電話かけてフィーリングが合うとか合わんとか言うてるようではあきません。「そらチャイマッセ!!」と言わせてもらいます。

また良くかかってくる質問の電話は名前を名乗らずに突然話し始めます。
いつもと違う状況を説明して「病気でしょうか?」や「犬が風邪引いたんです。料金いくらかかりますか?」、「今こういう病気である病院にかかっています。おたくならどういう治療をしますか?」、「インターネットで調べたら○○という病気です。友人は△△というのですがあなたどう思いますか?」・・・等々。似たような電話が毎日のようにかかってきます。
申し訳ございませんが当院ではそのような電話による問い合わせには「私は診察してないので判断のしようがありません。お近くの動物病院で診ていただくのが宜しいかと思います。」とお答えする場合がほとんどです。もちろん自分の名前を名乗り、今実際に困っている状況が判断できる場合には明確に指示を出したり、時間外でも診察したり、時には「その状況でしたら私の病院よりもちょっと遠いですが○○病院に行きなさい。 私からも院長に直接診て頂けるように電話を入れておきます。」と答える場合もあります。
しかし基本的に診察中の「あ~だ、こうだ」の長電話は困るのです。病院には受付でお待ちいただいている方もいらっしゃるのです。その方々をさし置いて5分も10分も質問して挙句の果てに「ありがとう」も言わずに「突然電話をブチッ」と切ってしまう。「長時間お話していただいてありがとうございました。の言葉が先でしょう!!」と私は言いたいのです。
これも本当に当院にかかってきた電話です。「先生の名前、姓と名の漢字の書き方、生年月日を教えてください」との質問。こちらも緊張して「何かの調査でしょうか?」と聞き返すと、「調査といえば調査ですが易に関心がありましてうちの犬のお医者さんとして相性が良いかどうかを占いたい」との事。このような場合の私の当然の回答として「申し訳ございませんがその占いから当院を除外下さい。ワンちゃんが病気だと疑われる時にはお電話ではなくご来院下さい」とご挨拶をして電話を切りました。
世の動物病院を開業している獣医師を代表して言わせてもらいますが、あなたの質問のフィーリングが合う合わないはこの電話と同じ意味ですよ。「あんた怒られるでしまいに!!」

あなたは子どもが病気した時に病院を探して同じようなことを電話で院長を呼び出してこのような質問をしますか?
お小言ついでに、よく質問されるものに「○○の専門の動物病院ですか?」というものがあります。電話でそういう質問をしてくる人の全員が「今は必要ないのですが万一うちの子が○○○のような状況になったときのために今探しておきたいのです。」とおっしゃいます。このように電話をかけまくっても専門で名医はそうやたらにいないのですから見つかりっこないのです。またこのような電話が入ってきて「はい、私があなたがお探しの名医です。」などと答える先生はその先生には申し訳ございませんがあまりたいした先生ではないでしょう。

動物病院の設備レベルは獣医師仲間が良く知っているのです。 Q30609_001

そして「自分の手におえない病気かどうか、自分もこれは判断できるがこの状況を治療するにはあの機械、あの装置がいる。それがあるのはあの病院とあの病院だがこの状況ではあの先生が一番だ。」と判断するのです。全ての先生がオールマイティー(全能力者)的に何にでも対処できるものではありません。
再度申し上げますがどの先生にも自分が強いところと弱いところがあります。しかし日常起こりうる病気の95%以上は普通の先生、普通のあなたのお近くの動物病院で処理できるのです。残りのうち4%の病気はその先生がいろいろな友人に相談しながら対処していただけるものなのです。最後の1%以下のケースで先生が次の病院を紹介してくれるのです。この1%のケースではあなたの判断で選ぶよりは例え並クラスの医者と呼ばれようともその先生に選んでいただいたほうが確かなことなのです。
一般的にほとんどの先生はその方法を取ります。むしろある状況での判断で別の病院に転院させることに躊躇(ちゆうちょ)しない先生の方がホームドクターとしてあなたとあなたのペットに対して良い先生だと思います。もちろんその紹介を受けた先生にも自分が対処できないケースが時には在ります。その場合はその先生が元の先生と相談して次の病院を決めるのがわれわれ開業獣医師仲間では一般的です。
例えば以前に肩の骨折があり微妙な部分であったので私は車で一時間くらい離れたB先生に転院させました。しかしB先生が再度細かく確認してから私に電話が在りました「このケースはやはりチョットデリケートです。」とのこと。私とB先生で再度状況確認をし判断をしてその病院から車でニ時間半遠方にある県外のC先生の病院に再転院させそこで手術を受けました。そこで3日間ほど入院して後に退院してきて当病院にて後処置をしました。
このことは決してたらいまわしと言う物でなく情報の共有と過渡期が済んだ後の、この様なケースに多々ある継続治療の必要な場合にあなたのより近い場所で後治療ができる利点があるからです。それはあなたにとってのメリットなのです。もちろん時々失敗もありますがね。相田みつをは人間だものと言ってくれました。

ホームドクター、かかりつ けの先生、主治医、専門医、名医 Q30609_002

さてここで語句の説明をしなければなりません。ホームドクター、かかりつ けの先生、主治医、専門医、名医です。

  • ホームドクター、かかりつけの先生
    ホームドクターかかりつけの動物病院の先生よりチョット濃い関係です。日頃より何かあった時にいろいろ相談に乗ってもらっている先生です。一般で言うかかりつけの先生より親密に色々と相談に乗っていただける先生で何かあったときにはまずそこからです。
    日頃より良いお付き合いをしておくことです。フィーリングなどはそれから自然に付いて来る物です。散歩の途中にチョット遠回りして立ち寄るとか、病院に置いてある花を褒めるとか、色々会話をする機会があるでしょう。あんたがだんなさんとイッショになった頃を思い出したらええんですわ。「何!そこが間違ってたんやて。こら!ウルサイで話の腰を折らんといて!」
    お断りしておきますが決してその先生が名医とはかぎりません。むしろ名医でない方が多い。なぜなら名医は日々忙しくて皆様方の日々の普通の病気に対していろいろと個別にアドバイスを言う暇がありません。
    「こんなの、水道水で洗っとけば4~5日で治るよ!!」とか、「この程度のことは気にせずほっときなさい!!」とか、「歩くときカシャカシャ爪音が聞こえるのは病気だと本に書いてあった。うちの子も歩くとき爪音が鳴っている。本に書いてある病気じゃ無いでしょうかでしょうか?」とあなたが何かのついでに話したら、チラッと犬の四肢を見て「まだまだこの子はボケとらんしホルモン失調等の他の症状もない心配いらん!!」とか言ってくれるような暇などありません。
    じゃあそこであなたのような元大阪のあつかましいおばちゃんは「かた先生はこんな風に原稿をセッセと毎号書く暇があるくらいだから名医とチャイマスナ!」と言うでしょう。すかさず私は答えます「私は迷医です。私はいつもあなた方の質問を『あ~だ、こうだ』と、その都度の『答え方に迷う日々を過ごしている迷医』です。」と。
  • 主治医
    主治医というのはある病気に対してそれを主体的に治療してくれる獣医さんです。ホームドクターが主治医の場合も多々ありますがそうでない場合もあります。
    例えばある動物病院にA先生とB先生の2人がいたとします。 B先生が担当してその病気を治療していく場合はB先生が主治医です。
    私の病院で2ヶ月前にも目の病気で網膜剥離(もうまくはくり)になった子がいました。私はその子が最終的に目が見えているかどうか、眼球の裏側の視神経の働きがまだあるかどうかの機械的チェックを受ける必要があると判断したため、私が信ずる獣医眼科の専門医のC先生に過去の病歴カルテ、現在使用中のお薬、検査及び治療依頼書を付けてその子を転院させました。2週間後にその先生よりOKの再転院状が届きました。おかげでその子は目も無事に見えていて前のように生活を続けられることになり、それ以降は当院で基礎疾患の治療を続けることになりました。この場合は主治医は私からC先生へそして私へと変更されたのです。これがそれぞれの場面で主治医は変化するということです。
    また1年ぐらい前のケースですが10年以上も当院をホームドクターとしてお付き合いしているM・ダックスですが「眼から黒い涙が出る」と言うことで来院しました。私は見てすぐメラノーマと言う悪性の腫瘍(黒色腫)と判断したので、その旨を飼い主さんにこの病気の危険性と対応を説明し同意を得た上で先のC先生に「メラノーマだと思いますがまだ小さいので取れませんか?」とつなぎました。一回目の手術を受けたのですが2ヵ月後再発しました。私とそのC先生との相談で転移の状況と眼球の後ろ側の腫瘍の範囲をMRIで確認する必要がある事とたぶん眼球の摘出と放射線療法が必要と判断し山口大学の付属動物病院に再転院させました。打ち合わせの上D先生が担当することになりました。
    私→C先生→私→C先生→D先生→私と主治医が変わっています。
  • 専門医、名医
    専門医とはある特定の病気または病気領域を診療対象としている動物病院の先生を言います。もちろんその先生のところにはその為の特殊な機械、器具が揃っているのが普通です。ですから一般の病院から紹介を受けその領域の病気を持った動物が治療を受けるために訪問します。
    専門医の先生の中に名医もいらっしゃいます。いずれにしろそれらの先生方は日々多忙なのです。だからあなた方が電話をかけて「あなたは○○の専門医ですか?」「名医ですか?」と質問しても、「ハイそうです」と言ってくれる暇は無いのです。逆にそれらの専門医に代わり私から皆さま方に「多忙な先生方に緊急でもないのに電話をしないでいただきたい。」とお願いしておきます。
    もちろん名医というのはそれ以外にも多方面に渡ってそれぞれに存在しているものです。いずれにしても電話をかけて聞くものでも探すものでもありません。

結論です Q30609_003

  1. 重要なことはホームドクター=かかりつけの獣医さんをもつことです。 それには電話で探すのではなくちゃんと訪問すること。再度言っときますが日常の95%以上の病気は一般的な病気です。健康診断であろうと診療相談であろうとまず動物病院に行くことです。
  2. それこそ会って話してからフィーリングでしょう。動物病院はメールの出会い系サイトやないんですよ。電話で話してフィーリングとはそらチャイマッセおばちゃんやで。電話をかけて探すのではなく病院へ行きなさい。長電話をかけてきて電話切って終わり。そら喰い逃げでっせ。
  3. 専門医も名医もホームドクターが知っていてその状況によってここから先は専門医が必要だと判断したとき、あなたのホームドクターが指示、紹介してくれるのです。その状況かどうかの判断はあなたではなくてホームドクターが判断してくれるのです。
  4. そのホームドクターはあなたのご近所にいらっしゃいます。「良い出会いを。」と相田みつをも言ってました。

「ところでもう一回聞くけど、かた先生は名医とちがうな?」「おばちゃん、あんたやかましい人やな!!しまいに怒るで!!」