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かた21動物病院

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てんかん発作と診断を受けたが、薬をくれない。 心配です! Q30101

2歳になるビーグルのオスです。5ヶ月ほど前に急にばったりと倒れてツッパリ状態になりました。その一度だけで、それ以後何事も無かったのですが、先週久しぶりにまたひきつけツッパリ状態になったので、すぐに病院にいきました。しかしてんかん発作と診断を受けたのですが、お薬を頂けませんでした。
既に2回起こしているので、またすぐ起こるのでないかと心配しています。このまま放っておいても良いのでしょうか?
また治らないとも言われました。本当に心配しています。先生どうしたら良いのか教えてください。
こんな子はどうしたらよいのでしょうか?

倉敷市のR.Y.さん

てんかんですか?おそらくビーグル2歳で発生、5ヶ月経って再度起こったてんかん発作であるのなら、真性てんかんだと考えられます。
残念ながら、かかりつけの病院の先生がおっしゃったように治らないと思います。しかしコントロールはできますので、ある程度の安心をもって頂ける事と信じます。
もちろん、ここに説明している内容を読んでよく理解して頂くことであなたのご心配を取り除くことが出来ると期待しております。

解説している内容

  1. 実はてんかんの治療はコントロール療法です。
  2. てんかん発作とは?
  3. てんかん発作は三段階
  4. てんかんの治療薬と緊急処置薬
  5. てんかん治療の開始条件
  6. てんかん治療を受ける飼い主さんの心構え
  7. かた先生からのアドバイス、「ホームドクターを信用しなさい」。
  1. 実はてんかんの治療はコントロール療法です。 
    さて、この病気の治療と言うのは、治療をするというイメージより、むしろコントロールすると言うイメージ、つまり根本治療でなくて対処療法をするものとご理解ください。
    このてんかん発作をコントロールしていけばかなり普通に近い生活ができますので、そう悲観するすることでもありません。てんかん発作が既に複数回、間隔があって発生しているのなら、それはあたかも「10km先に滝つぼがある川の流れに浮ぶ小船に乗っている」ようなものです。いずれその滝つぼに、のみ込まれてしまう事になるのです。その小船の流されるスピードをそのままにしておけば1日10m進むと仮定すると二年半ぐらいで滝つぼに到達します。そのスピードを薬を飲むことで1日5mへ、3mへ2mへと、進むスピードを遅くしてやる。これがコントロール療法と言う意味なのです。
    発作と発作の間隔を長く保ち、発作の回数を少なくする事、また発作が起きても、その症状を軽くする事に主眼が置かれています。決して発作が起こらないと言うことではありません。これは生涯にかかわる長期戦だからです。
  2. てんかん発作とは?
    このてんかんは犬では比較的よく見られる病気の一つでもあります。そもそも身体の動きの中枢である脳と身体の動きを機能させるそれぞれの各筋肉への動きに関する指示連絡は、コンピューターと同じように電気的信号(刺激)により伝わって行くと考えてください。それを個別に伝える配線が、神経細胞と神経線維というやつだとご理解ください。その配線が電気信号を伝えていくわけですから当然その一本一本の線の配線にはそれぞれに絶縁されて混線しないようになっているます。神経線維も同じです。
    しかしそれが脳からカミナリのような強烈な電流が放電された場合に、その神経線維の絶縁レベルをはるかに超えた電流が流れ漏電現象が発生し身体全体の筋肉が硬直するような痙攣をおこしてしまう。このような状態がてんかんなのです。犬てんかんではかなりの率が先天的要因で発生しています。1歳から5歳ぐらいの間で発生するのが普通でこれを真性てんかんと言います。
    ちなみにこの真性てんかんの初めての発作は傾向的に春と秋に多いのですよ。あなたのワンちゃんもひょっとしてその時期ではなかったでしょうか?
    一般的にはてんかん発作の痙攣(けいれん)状態が続くのは三分間前後ですが、そのことを始めて経験した飼い主さんにはとっても長く続いているように感じるものです。
    (注意)もしあなたの犬のてんかん発作発生時に遭遇してもその発生中は決してその犬の口元に手をやることは危険ですので避けてくださいね。
    犬には意識が無い筋肉の痙攣ですので大好きなあなたの手も咬んでしまうことがあります。
  3. てんかん発作は三段階
    さて、その発作は、軽度なふらつきぐらいから、意識が無くなり倒れこみ、全身の筋肉が痙攣硬直し背筋が突っ張り手足も突っ張るもの、またその手足をばたつかせてあたかも空中で泳いでいるような動きをすることもあります。そのとき顔面の筋肉も硬直し目は見開いていてほほの筋肉もつっぱて口から泡を出していることもあります。ウンコ、オシッコを出してしまうこともあります。
    このてんかん発作は突然発生するものですが慣れてくると余裕で発作が来るのがわかるようになります。一般的には次の前・中・後期の三段階に分類できることが分かってきます。
    てんかん前期
    犬は不安げに隠れようとして家具などの間や隅っこに入ろうとします。目や足の痙攣から始まる場合は目を大きく見開いていたりソファーから飛び降りたりします。この時間は約一分間以内です。すぐ発作が始まります。
    発作期
    さまざまな型での痙攣発作があります。軽い筋肉の痙攣からオシッコ、ウンコの失禁や脱糞。そしてヨダレや泡を流すこともあります。また重度の全身性のツッパリ痙攣まであります。背筋のツッパリや両手足のツッパリも起こります。天井の一点を見つめていることもあります。
    てんかん後期
    強い痙攣があった後はぐったり疲れているのが一般的です。その時に異常行動や呼吸が速くなったりもしています。一時的に失明状態になっていることもあります。犬自身が最も驚いているので静かにそっとして落ち着くまで待ちましょう。

    全体的にこの痙攣は5分以内が普通です。顔を拭くためのタオルやオシッコ、ウンコの掃除の準備をしてください。

  4. てんかんの治療薬と緊急処置薬
    てんかん治療薬
    てんかんの治療(コントロール)を開始するとあなたのホームドクターは抗痙攣剤を週単位で処方します。それは症状をコントロールするために毎日2~3回飲むお薬です。
    緊急処置薬
    そしてまた緊急処置のための抗不安剤も2~3回分程度処方して頂けます。それは日々の処置に使うものではなく夜間や連続発作時等の緊急時に使用するもので、冷蔵庫で保管しておくものです。当然ですがその使い方についてしっかりと指導を受けてください。

    両方のお薬が同時に渡される場合と緊急処置薬だけ先に出される場合があります。どちらも神経系統(脳)の方に抑制的に作用するのお薬で使用すると眠くなります。初期には酔っ払ったようにふらつきますが次第に体のほうがそのお薬に慣れてきて普通の状況に近くなり日常生活に支障がなくなります。
    治療開始に当たっての重要な情報はそのてんかん発作の発生自体でなく、どんな症状で発作が起きたのか?そしてその発作と次の発作との間隔がどのくらいあったのか?です。
    再度申し上げますがてんかんの治療と言うのはてんかんの発生を完全に除去してしまうことを目的としていないません。発生頻度(一定期間に発生する回数)とその発作持続時間を少なくすることと発作痙攣の状況を軽くすることを目的としています。ですから治療の開始は発作が何回か経験してから投薬開始されるものです。
    一年に一回程度やあなたのワンちゃんのように半年に一回程度では治療開始とはいたしません。だから先生はお薬を出さなかったのです。それは5ヶ月や6ヶ月も発作間隔が空いている状況では、そのお薬が効いていて発作が無いのかたまたま発作が無かったのか分からないからです。

  5. てんかん治療の開始条件
    次のような場合に、治療が開始されるでしょう。
    1. 発作と発作との間隔が6週間以内になった場合。
    2. 発作が連続して発生した場合。
    3. 一日の内に2回以上の発作があった場合。

    これがてんかん治療の開始条件です。
    あなたのワンはまだこの条件に該当していないので先生は治療開始宣言をしないのです。その先生は良心的な先生だと私は思います。その先生にホームドクターになってもらいなさい。
    あなたが今すべきことは全ての発作が発生した日時と状況および経過時間を手帳に記載することです。次に起こったときにその間隔(日数)とひどさの度合い(+~++++)を整理しておいて頂きたい。
    てんかんは発生時以外は判断のしょうがありません。獣医さんは発作時には同席していないのです。あなたのワンは発作の状況を獣医さんに直接話して聞かせることができません。それができるのはあなただけです。あなたにとってそれはワンダフルなことではありませんか。

  6. てんかん治療を受ける飼い主さんの心構え
    てんかんの治療を受けるにあたって下記8項目の心構えが必要です。
    1. その発作は治療されないと悪くなって行きます。
    2. うまくコントロールされていても軽度の発作を起こすことがあります。
    3. すべての発作が発生した日付と症状と経過時間を記録しておいてください。
    4. 薬を飲み始めて止めたり、定まった量と回数分を与えなかったりするとてんかんが再発します。
    5. 薬容量には効果の出始める最低容量とまた逆に天井効果というものがあって、それ以上に容量をアップしても効かなくなる事があります。
    6. 少量ずつ数ヶ月かけて適切な容量を決めていきます。
    7. 薬は一生涯与えることになります。老化のある段階では投薬しなくても発生頻度がかなり少なく弱まることもありました。
    8. 薬でコントロールできていたのにまた発作が再発してもあきらめないでください。薬の量や複数の薬を組み合わせてコントロールしていきます。
  7. かた先生からのアドバイス、「ホームドクターを信用しなさい」。
    最後にホームドクターとの連携が大切です。ホームドクターを信頼して相談してください。これは長期戦です。
    もしてんかんのような発作が食事の前か後に必ず発生している場合や5歳以上で初めて発生するような場合では別の病気を疑わなければなりません。 あなたの記録が重要です。
    またてんかんの治療コントロールでは自宅での投薬が基本です。投薬の方法も上手にマスターしておくことも重要なことです。あなたのワンちゃんは、あなたしか頼ることができないのです。

最後にこのてんかんの対策にはホウレンソウが重要です。あなたのホームドクターへの告、絡、談が絶対条件です。
それではワンダフルコミュニケーションを!