去年のクリスマスでした。家族でパーティーをしたときのことです。テーブルにお皿を並べクリスマスケーキを置きローソクを立て・・・と、みんなで準備をしていました。わが家の愛犬ハム(ビションフリーゼ・オス・1歳半)あんまり嬉しかったのか、「料理を運ぼう」とみんなが目をはなしたすきに、な、なんと!ハムがテーブルの上に飛び乗ってローソクごとケーキにかぶりついていたのです。結局、クリスマスケーキ1/3ぐらいとローソク一本を食べてしまいました。夜間のことなので病院にも行かず過ごしましたが、こういう時ってどうしたらよかったのでしょうか?
ハムはその後も元気でしたが今年のクリスマス・パーティーのためにアドバイス下さい。
熊本市 ハムのママ
昨年はさぞおにぎやかなクリスマスだったのでしょう。パーティーのように少々華やかな状況というものは犬も気付くものです。一方、ビションフリーゼは外見よりもけっこうジャンプ力があります。また犬という動物は嗅覚が発達しているのです。日頃より直接自分の目では見えないが間違いなく美味しい食物の匂いの発生源であるテーブルの上は特別興味のそそられる場所です。チャンスがあれば飛び乗ってその憧れの場所で匂いの元をゲットしてみたいという犬の衝動を止める事は大変困難なことです。
考え方によっては、その昨年の事件が料理を全て配膳した後でなく単にクリスマスケーキを出して飾り付けただけだったから被害がクリスマスケーキ一個で済んだのでラッキーなことだったとも言えます。
さて、そろそろ本題に入りましょう。
質問は1.もしクリスマスケーキやローソクを食べてしまっていたらどうなっていたか?また、2.こういう時はどうしたら良いか?ということですね。
もしクリスマスケーキやローソクを食べてしまっていたらどうなっていたか?
全くどうもありません。ローソクは基本的にパラフィンという石油から作られる油脂で軟膏や化粧品の基剤として使用される薬品です。また皮膚や口から入ったものは吸収されません。そして燃えるための芯は木綿糸なのでそれを食べてもそのままウンコとして出てきます。いずれにしろ一般的にクリスマスケーキに使用されるローソクの量では一本丸ごと食べたとしても特に問題となることはありません。五本ぐらい食べれば下痢ぐらいするでしょうがそのパラフィン(ローソク)と芯が糞として排出されればそれで終わりです。特に問題はありません。
こういう時はどうしたら良いか?
- 事故防止の意味から、 まず人の食事の時は犬を必ずケージに入れておくこと。これは誤食の事故防止のためのみならずワンワン騒がしい子に育てないためにも人の食事と犬の食事時間は別々にした方が良いでしょう。
- 次にもうすでに食卓テーブルの上に乗っていて食べ始めている犬を見つけた時は、ニコニコ笑顔で近づきすぐ「バカモン!!」と大声を上げて、犬の顔を横から口の中のものを出すぐらいに強くバシ!!と叩く。そして今自分がテーブルの上にいた事が大変悪い事だ。御主人様が烈火のごとく怒っている。という事を犬に教える事です。そしてあなたは犬にそういうイタズラをさせるチャンスを作った事を反省してください。
上記のようにバシ!!とケジメをつける事もできない弱気なあなたはいつもと同じように優しそうに犬に近づきかまえ速やかに口の中に指を入れ口の内にあるものを全て指でカキ出して下さい。そして犬をダッコしてケージ内にもどして下さい。
次にご質問の内容をケーキやローソクを食べた犬から少し内容を変更し、クリスマスケーキを食べた犬はどうなりますか?と拡大解釈してもうチョコットお教えしておきます。
犬がクリスマスケーキを食べたらどうなるの?
まずクリスマスケーキなるものの中身のおおまかな構成物は、ローソク、銀紙の小片、チョコレート、クリーム 、つまようじ、プラスチック小片、針金の小片、スポンジケーキ、フルーツ、ナッツ小片などなどでしょう。さて、それらを犬が食べた時の解説です。
- ローソク
- 先にお話しました。下痢することがあっても特に問題ありません。
- 銀紙の小片
- ウンコに出るので問題ありません。
- チョコレート
- 要注意
これはチョコレートの質と量によって中毒を起こすことあり。
ミルクチョコレートがケーキに付いていたのなら、そしてハムちゃんの体重が5~6㎏の場合、50gぐらい食べないとそれほど心配するほどの事はありませんが与えない方が良いです。嘔吐、下痢、発熱、興奮、そして痙攣がチョコレート中毒の症状です。
問題はそのケーキがチョコレートケーキであった時です。最近のチョコレートケーキは高級になってきてピュアココア(ドライココアパウダー)がふりかけてあるのが時々見られます。ドライココアパウダーは犬猫にとって大変危険で、4~5gぐらい食べて症状が出てくるので注意して下さい。ちなみに犬の致死量は体重1kg当り4.3gです。猫は犬の半分でも反応します。
- クリーム
- 問題ありません。
- つまようじ(一般的な柳ようじ)
- 心配ですが一本ぐらいならほとんどの場合問題ありません
- プラスチック小片
- ほとんどの場合問題ありません。
- 針金の小片
- 最近付いているものは見かけませんが以前はお飾りのプラスチックの下に付いていました。これも大変心配ですが使用されていたのはかなり細い針金でした。ちなみに私の経験では問題になりませんでした。またいろいろなクリスマスケーキに使用される物質でレントゲン写真に写るのは針金だけです。
- スポンジケーキ
- 一般的食品ですので特に問題ありません。
- フルーツ
- 一般的食品ですので特に問題ありません。
- ナッツ小片
- 一般的食品ですので特に問題ありません。
結論
- クリスマス・パーティーをする時には犬はケージの中。
- 犬をどうしても部屋においておきたい人はクリスマスケーキはチョコレートの使用していないもの又はホワイトチョコのケーキを使用する。
- アレルギーのある子にはどのようなケーキも与えてはいけません。
参考の為にチョコレート種類別、犬の中毒発生状況を表にしてあります。ダメデスよ犬にチョコを食べさせては!!
ここまで食べさせてはいけないチョコレート量
2kgの犬は3kgの場合の3分の2、20kgの犬は10kgの場合の2倍というようにチョコレート量を計算してください。