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かた21動物病院

人とペットの良好な関係を願う

質問箱

「老犬の夜中の徘徊(はいかい)や泣き声で夜中眠れません。」 Q30701

犬猫の痴ほう、認知症、ボケ、老いの問題(その1)

14歳のシュナウザーです。もうボケてきているのは分かっているのです。6ヶ月ぐらい前から早朝3時~4時頃にお腹がすいて吠えるので、フードをやってオトナシクさせていたのですが、しかし、ここ四ヶ月ぐらい前から夜中になると、ごそごそと歩き回るようになり夜通し「カシャカシャ、ゴトゴト」足音が聞こえます。時には隙間に首を突っ込んで泣き叫び人を呼びます。犬も私達も夜眠れず私達が寝不足になってしまい仕事にも支障が出てきました。
もう安楽死しかないのでしょうか?まだ気持ちの整理がついていません。もう 少し長く生かせてあげたいのです。しかし家族は寝不足です。どうしたら良いのか、良い対処方法を教えてください。

福岡市 寝不足のパパ

人も犬も猫も年齢が進めばボケてきます。いわゆる痴ほうです。加齢に伴う認知症です。あなたのシュナちゃんは痴ほう性の夜の徘徊です。これがはじまる頃には、もう目も耳も運動能力そして判断能力も衰えていて、壁や隙間や椅子などの障害物があると、そこで止まってしまって一晩中泣き続けます。しかし、ワンの方には寝不足は在りません。その分しっかり昼に寝ています。家族は眠れないし、受験生が居たり、夜中の騒ぎですので近所とのトラブルにまで発展してしまうこともあります。
飼い主さんが困って私の所に来ることが最近は増えています。近年みんな長生きするようになっているからでしょう。

老いの病の峠と言う坂 Q30701_001

長生きするということは、加齢に伴っていくつかの病の峠(やまいのとうげ)があります。そしてその老いの病の峠と言う坂を段階的に上っていくのです。
犬では7~8歳頃に歯や口腔の病気、9歳頃には泌尿器障害。10歳位で心臓循環器系の傷害。12歳を過ぎた頃から今回の質問のように痴ほう認知症がぼちぼち見受けられます。もちろん犬だけではなく猫の例でも、8~9歳で歯や口腔の病気、9~12歳で泌尿器系・循環器系の病気、13~15歳を過ぎると痴ほう、認知症が、加齢に伴い同様の病の峠に差し掛かり、高年齢、加齢によるそれらの病気による死亡が目立ってきます。
痴ほう認知症ボケが始まると下記の状況になります。

  1. うんこ・おしっこのかたずけなど、飼育管理に手間がかかる。
  2. 異常な泣き声をさかんにするので近所迷惑。特に夜中。
  3. 夜中の泣き声や徘徊により飼い主さんが睡眠不足になり、精神的・肉体的にまいってしまう。

この問題はいずれ私自身にも起こりうることなので、私の病院ではソフトに対応させていただいています。また、この犬や猫の痴ほうは、人で言うアルツハイマー型痴ほうではないとされています。

どうすれば良いの?対処法はホスピス的介護 Q30701_002

まず初めに申し上げておきますが、痴ほうが治ると言うことではなく、進行を遅らせたり、今あなたがお悩みの好ましくない状態が改善出来るということです。それでも良いタイミングでスタートすれば、かなりの改善効果が期待できる実績があります。いわゆる終末期の介護医療行為の一つです。最期まで当院の設立モットーである人とペットとの良好な関係を保ち続けるということです。
介護する側もされる側からも高齢犬の生活行動をより楽に、快適にしてあげると言う、いわゆるホスピス的考え方です。ですから対処法も症状の進行状況に応じてですし、効果や改善も違ってきます。もっと簡単に言えば変化・症状に気付いたら、すぐに病院に行って協力を仰ぐことをおすすめします。

夜泣きは初期なら三日でコントロール出来る時期がある。 Q30701_003

例えば夜泣きのレベルは、三日でコントロール出来る時期があります。脳障害の少ない早い時期に対処することが重要です。そういえば、ほんの4~5日前の月曜日の夜のラジオ放送で、「12歳のダックスです。夜中の4時ごろより毎日泣くので家族は寝不足です」と視聴者投稿が読み上げられて、「それは黒い布をケージに周りが見えないくらいにスッポリとかぶせてやれば治まる。」と言う話が流れていました。そこまで聞いた所で私は車を降りたので、後どういう話になったのかは知りません。違っていたらごめんなさい。私は「それで治まれば、それは分離不安による泣き声です。その子のケースは第一に夜中の4時頃のパターン化的夜泣き、第二に年齢が12歳ということからして、痴ほう認知症による夜泣きだと思うよ~。早く病院に行きなさい。今なら治められる可能性が大かもしれません。」と、エンジンを切ってドアを閉める前にラジオにそう言いました。もし動物病院に行くのなら、その声を録音して先生に聞かせれば、獣医さんはその声で「分離不安か認知症かの違いが判断できると思うよ」とも言いました。
この認知症や夜泣きの対応は12年ぐらい前から実施していてけっこう高い確率で、うまくコントロールできているものです。最近の脳科学から導き出されてきた理論でも、その方法が裏づけされてきています。

夜中の徘徊は徘徊サークル設置でコントロール Q30701_004

夜中に歩き回って狭い所に首を突っ込んだり、障害物の所で立ち止まって泣き叫ぶ、というパターンが一般的です。歩き回る足音がカシャカシャ・ゴトゴトとうるさい。障害物にぶつかる。動けなくなってナキ続ける。この二つを同時にカバーしコントロールします。
30702の「犬猫の痴ほう、認知症、ボケ、老いの問題」を参照に、日中は小憎らしいぐらい良く寝ているのですが、夜中になると起きて歩き回る、時々疲れて眠ります。このタイプの訴えがほとんどです。この対処法は病院ではなくあなた自身で出来ることです。

徘徊サークルの作り方

    • 材料をホームセンターで買えます。
      お風呂敷きマット5枚。サイズは長さ120cm、幅84cm、厚さ2cmでスポンジの柔らかいお風呂マットです。1枚900円前後です。小型中型犬までは5枚、大型犬では7枚が必要です。
      小型中型犬はマット3枚を使用し直径105cmサークルを作る。大型犬はマット5枚を使用し直径177cmサークルを作る。
      それぞれ2枚の残りマットは、横つなぎして床敷き用マットとして使用します。
      そのほかに荷造り用の紐と、マットに紐の通し穴を開ける焼き火箸などの物と布製ガムテープ少々。
  • 作り方、組み立て方
    マット3枚、または5枚を横につなげてサークルを作る。必ず奇数枚です。
    火箸又は金属をガスコンロで焼いてマットに結び止めアナを開ける。アナ位置は下から10cm、40cm、70cmぐらいを目安にしてください。それぞれに4cm間隔で2個の紐通しアナを開ける。
    裏表に布製ガムテープを貼ってから開けてください。上は跨いで中に入れるようにフリーにしておく方が良い。邪魔なら切り取っても良い。
    3枚の場合はつなぎ目になる三つのコーナーには、サークル壁の後に食卓の椅子を置いて補強する。大型犬の5枚組みでは、一角は食卓テーブルの足に結びつけるとより安定する。
    残り2枚のマットはサークルの床敷きです。マットの縦の部分でガムテープ貼り合わせて連結します。240cm×120cmの広さの床になります。その上にサークルを置く。床にペットシーツやタオルケットを敷く方もいらっしゃいます。

 

 

うんこおしっこは紙おむつ使用 Q30701_005

日中は薦めませんが、パンツ型紙おむつを使用します。ペット用でも人用でもかまいません。シッポの部分はハサミでシッポ用の穴を開けます。価格は特売があるのでむしろ人用が安価で入手できることが多いです。汚れたらすぐに取り替えてやってください。お尻も洗って清潔にしてやってください。

効果 Q30701_006

ワンは夜通しサークルの中を歩き回って疲れて寝るの繰り返しをしてます。足音、爪音もなくなります。ぐるぐる回っているだけで、障害物が無いのでほとんど泣きません。
フードの変更については、教えて先生質問箱バックナンバー30702”「犬がボケるってどんな変化、症状」かた先生教えて。「犬猫の痴ほう、認知症、ボケ、老いの問題」(その2)”を参照してください。
早期発見・早期対応でかなり有効にコントロールできます。遅くなっていてもやってあげられることはいくつかあります。

鎮静剤や睡眠薬の使用 Q30701_007

鎮静剤や睡眠薬は上記手段の後でも良いではありませんか。私の所では三段階目での使用となっています。最近では、一段階目や二段階目の処方期間が一般的に長くなっている傾向を感じています。うまく行っているのでしょう。要するに、早く気付いてあげる事、早期発見と早期対応が肝心。

尊厳死・安楽死 Q30701_008

まあ、かかりつけの獣医さんとご相談下さい。選択肢の一つであることには間違いありません。

一人で、お悩みにならないで下さい。きっと、かかりつけの先生がヘルプしてくださると思いますよ。

教えて先生質問箱バックナンバー30702”「犬がボケるってどんな変化、症状」かた先生教えて。犬猫の痴ほう、認知症・ボケ・老いの問題(その2)”30703”「犬猫が老いるってどんな変化。どうしたら良いの。」犬猫の痴ほう、認知症・ボケ・老いの問題(その3)”も読んでおいてください。今は関係が無いと思っているあなたもですよ。必ずそのときが来ます。

それでは、お大事に。