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かた21動物病院

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質問箱

【 2匹目の猫、猫のケンカの仲裁方法: 「10のステップ」 (Q&A: 50601-01) 】 5060101


【 2匹目の猫、猫のケンカの仲裁方法: 「10のステップ」 (Q&A: 50601-01) 】
*引っ越しで、はぐれた親子猫の再会。 ケンカします。 親子が判らないの?* 

 

【 2匹目の猫、猫のケンカの仲裁方法: 「10のステップ」 (Q&A: 50601-01) 】
*引っ越しで、はぐれた親子猫の再会。 ケンカします。 親子が判らないの?*

【(Q: 50601-01) : 2匹目の猫、猫のケンカの仲裁方法: 「10のステップ」 】
「かた先生」ご無沙汰しております。 福岡市に住んでいた頃には「親猫ミーと子猫のクロ」が、お世話になっておりました「ミーちゃんの母」です。
2年前に、名古屋に引越し致しました。 引っ越しの時、親猫のミーがはぐれてしまい、捕まらず「子猫のクロ」だけを連れて引っ越しして行きました。 神様のお引き合わせか先日、元の家の近くで親猫を見つけて、名古屋に連れて帰ったのですが、仲の良かった親子の猫「2匹が激しくケンカ」します。 とっても「一緒に居させる」事が出来ないのです。 
「親子」だと言う事が判らないのでしょうか? 私の方にも、不注意で「引っ越しの時に、はぐれさせてしまった」と言う、負い目があります。 かた先生教えてください。 なんとか2匹を「仲直りさせる方法」は、無いでしょうか? 以前のように「親子仲良しの生活」をさせてやりたいのです。 「教えて先生質問箱」お願いいたします。
名古屋市 まぶたの母、ミーちゃんの母

【(A: 50601-01) : 2匹目の猫、猫のケンカの仲裁方法: 「10のステップ」 】
まずは、2年間も不明だった親猫「ミーちゃんが見つかって」良かったですね。 
時々探しに来られていたんでしょう。 見つかって本当に良かった。 
「生き別れした自分の子猫(先住猫)」と、新しく入ってきた「その子の母親猫」とのケンカですね。 猫は「自分たちが親子だ」と言う事が判らないのか? なぜ親子なのにこんなに激しくケンカするのか? 「仲直りさせる」のにはどうしたらいいのか? と言うご質問ですね。 「教えて先生質問箱」承りました。

あなたの質問には、「猫の社会行動学」の方向からの解説と、「猫の攻撃行動」への「猫のケンカの仲裁プログラム(対処療法):10のステップ」を、ご伝授申し上げます。

 

それでは、「教えて先生質問箱」始めます。 回答の順序・構成を表示いたします。
1、 猫の社会集団と猫の独立。
2、 「親・子」が判らないのか? いったん独立した猫は、もはや「親子の猫」ではない。
3、 猫どうしの「攻撃行動」の本体は、「恐怖心」です。
4、 先住猫と、新しく来た猫との「ケンカの仲裁プログラム: 10のステップ」。


1、 猫の社会集団と猫の独立。
 そもそも猫は、「社会集団を作らない動物」と良く言われますが、しかし「飼い猫」はその「社会集団と言う概念」を十分に認識しています。 社会集団と言う概念が強く成立するには、そこが「食料が十分にあり、不自由しない場所」である事が必要条件です。

 確かにネコの歴史、「野生ネコ」(原野にいる、脊椎動物を食料として狙う捕食者)⇒「野良猫:イエネコ」(人社会の周辺に住んでいる、捕食者)⇒「飼い猫」(ヒトに飼われて、餌をもらって食べているネコ)の歴史からすれば、そう言う事もできますが「イエネコ」になって人社会に順応(飼いやすいイエネコを選抜)して、「飼い猫」にしてきたのです。
 
猫の社会集団: 「飼い猫の子ども猫」は、6~12カ月齢までは母親猫と一緒に行動を取ります。 それが12カ月齢を過ぎると成猫として、基本的に自分自身の独立した生活様式(自分のテリトリー管理者)を取るようになります。 しかし環境が良い(食事が十分にある)場合には、いつまでも親子関係(仲良しの仲間)がうまく行っている「小さい社会集団」が成立し続けます。

今回の問題は、それが突然「引っ越し」と言う「物理的環境の変化」によって、その関係が途切れたのです。 しかも2年間とは、猫社会にとって「長い年月」なのです。
子猫は、母親に依存していた日々の生活行動様式が、この時崩れ「成熟した猫として、独立した生活様式(テリトリー管理者)」に移行したのです。

 先に申し上げておきますが、「この仲直りには3カ月(13週)間程度」かかります。 あなたは、2匹の猫たちとの「ゲームをしている」と思って頂ければ良いのです。
 


2、 「親・子」が判らないのか? いったん独立した猫は、もはや「親・子の猫」ではない。

まず「2年間離れていたので、親子が判らないのか?」について説明します。
猫という動物は野性味の残っている動物で、群れ生活をしている時でも一般に子猫は、12カ月~16カ月齢で独立していくものです。

ですから、この場合のように2年間離れていた場合は当然「別の独立個体」として行動を取ります。 また、その子猫(もう立派な成猫)も2年間「自分だけで新しい家」に、住んでいるわけですから、当然のごとくそこは「自分の小社会(縄張り:テリトリー)の管理者」に成長していても不思議ではありません。

そこへ新しく成猫が来たのですから、先住猫にとって「その猫が以前は、自分の母猫」であったとしても、「自分のテリトリーへの侵入者」であり、警戒心(恐怖心)を持って「攻撃排除する対象者」として見ています。

一方のその母猫にとっても、その家は「全く未知の新しい場所」であって、警戒心(恐怖心)を持って侵入探査する対象物です。 そこに「縄張りを張っている猫」は、もちろん「新しい場所にいる先住猫」、遭遇を警戒し身構え「防御・攻撃行動の対象者」として考えます。 ましてその母猫は、つい昨日まで「野良猫の世界」で、2年間生存していた猫です。

つまり、いずれの側からしても「恐怖心におびえながら、防御・攻撃行動」を仕掛ける対象者でしかありません。

いったん独立が完成した猫は、もはや「親・子の猫」ではないのです。

 

3、 猫どうしの「攻撃行動」の本体は、「恐怖心」です。

 通常、猫の「防御・攻撃行動」は、仲裁可能です。
この攻撃行動の本体は、「恐怖心」です。
 「恐怖心」は、その興奮(恐怖)が治まるまで「時間をかけて待つ」必要があります。
 この間に、「慰めよう」と抱っこしたりすると、逆に攻撃されることがあるので、とにかく「猫が落ち着くまで」待つことが重要です。 その間、数時間かかることも予想されます。 猫が落ち着いたら「気分転換を図る」様に、してやってください。 「猫ジャラシ」を使って、遊んでやるのも良い事です。

 この「ケンカの仲裁」の、キーワードは「慣れ」です。
 「まだ安全だ」と感じるレベルで、「恐怖心を感じない、お互いを無視できる」程度の「軽い出会い」を繰り返すことで、自分が「攻撃されていない」と言う「感覚実績(経験)作り」を、積み重ねて行く事になります。
 「徐々にかつ頻回」間隔を空けて、「攻撃してこない相手」を認識している事を常態化する、「脱感作(だつかんさ)」と言う方法で、「慣れ」させる事が出来ます。

4、 先住猫と、新しく来た猫との「猫のケンカの仲裁プログラム: 10のステップ」。

さて説明はそのくらいにして、具体的な仲裁方法に入ります。
またこの方法は、「新しい子猫の、仲間入りプログラム」の場合や、「病院(入院など)から帰ってきた猫」を元の集団に戻す「再会プログラム」とも、双方が慣れ「仲間として受け入れられる」までの「度合いの軽重の差の違い」があっても、「ケンカの仲裁プログラム」の実施要領は同じやり方です。 

再度申し上げておきますが、「3カ月間ぐらい」かけて仲裁するのだと認識してください。 仲裁可能ですが、「相手を恐れの対象」として、攻撃しなくなるためには「時間が必要」なのです。 焦りは禁物です。

さて、具体的な「猫のケンカの仲裁・治療プログラム:10のステップ」をご伝授いたします。
恐れ入りますが、「治療プログラム」ですので、相談料金「15分間以内、2,500円」を頂きます。 しかし「ミーちゃんの母」さんは、当院に「カルテ登録のある方」ですので、「今回はサービス(無料)」とさせて頂きます。 ただし、他の方への「再伝授を禁止」させていただければ「あなたにだけ、コソッと教えておきます。」ので、くれぐれも他言無用にてお願いいたします。
ご準備よろしければ、スタートさせていただきます。
 


【猫のケンカの仲裁・治療プログラム:10のステップ】

⑴、 恐怖心が治まる時間を待つ。 
攻撃行動の本体は恐怖心です。 
まず「2頭を離れさせた状態」に保つことが重要で、初めのうちは顔を合わせないようにしておく必要があります。 できれば、別々の部屋に置いておいて、猫どうしが顔を合わせないように保ちます。 (リードを着けておけば、とっさの脱出を防げます。) 顔を合わせなくても、双方の猫たちは「攻撃してこない猫が、近くにいる」と言う事を、ニオイと音で感じ取っています。

⑵、 全ての部屋の探検。 避難場所の確認。 
次に、新しく来た猫を「先住猫と顔を合わせない」ように注意しながら、家の「全ての部屋の探検」をさせましょう。 新しい猫は、各部屋のニオイから「先住猫の各部屋での確執と、自分が攻撃された時の避難場所」を確認するはずです。

⑶、 食事タイムのご対面。
 猫同士を慣れさせる方法として、私は「食事タイムのご対面」を推奨しています。 食事を与える時だけ同じ部屋に入れ、「双方の猫の存在を目視・認識」させるのです。 もちろんその間あなたは、必ずその部屋の「双方の猫の間」に、居なければなりません。

 ただし初めのうちは、双方の猫を「別々のケージに入れたまま」部屋の両隅で、双方が「接触できない、お互いを無視できる」安心のための「十分な距離」を保つ必要があります。 ケージが一個しかない場合には、先住猫をリードで柱などにつないでおくことでも可能です。

⑷、 頻回の「無防備姿勢」でのご対面は、「安心と許容」の醸成。
 食事の1回量も少しだけずつ、頻回に分けて与えます。 食べたらまた離れさせて、1日何回か(少なくとも1日4回以上)の「食事タイムでのご対面」をくり返す。 最低1日4回以上、1か月間続けましょう。

 食事の間の猫は無防備です。 その無防備の(攻撃意思のない)姿勢を、双方でお互いを確認し合い、「安心感」を残して行きます。 焦らずにゆっくりと「安心と許容」を、醸成していってください。

⑸、 「週30cmずつ」の接近は、忍法「目くらましの術」。
次に、「双方の、食器の間隔(食事の位置:ケージ間隔)」を、少しずつ(週に、30cmぐらいずつ)接近させるようにしてください。 リードを着けて、繋がれている場合であっても、必ず「双方の安心感覚距離」を保ちながら、焦らずゆっくりと縮めて行く事が重要です。

 

⑹、 食事接近以外に、1時間の観察タイム。
 また、「最終30㎝ぐらいの近距離」間隔になってきたら、食事を終えた後も「1時間程度」双方がその場所で、側にいる」事を観察できるようにしてください。

⑺、 同室者だが、接触禁止。
 「食事タイムのご対面」が、5週間(仲裁プログラム10週間)を経過したら、「両方を同じ部屋で」双方別のケージに入れた状態か、またはリードを着けたまま、「互いの姿が目に入る状態」にしておくこともできます。 が、まだ「直接の体の接触」は、避ける必要があります。
 猫の「防衛行動は根強い」ので、あくまでも「時間をかけて馴染ませる」必要があります。

⑻、 「短時間の試験接触」を頻回実施。
 その後「2週間経ったら、双方がリードにつながれた状態で、「注意深く自然な形で接触」できるぐらいに近づけます。 これは「短時間(30秒~1分間以内)程度の接触で、何回もくり返す」ようにしてください。
 そろそろ「一緒に遊べる」ようになってきているでしょう。 ま~いわゆる「フリー接触の前の、テスト演習」のようなものです。 ポイントは「短時間接触」です。

⑼、 猫と人の距離も同時に縮める。
 注意しなければいけないのは、この「猫の防御・攻撃行動」が、時に「人に向かう」場合があると言う事です。
 そのために、先の食事を与える時は「人も一緒に、そこにいる事が重要」です。 猫同士の食器の距離と、また「猫と人との距離」も縮めていくことが重要なポイントです。

⑽、 最後の仕上げは、「猫との遊び」を仕掛ける。
 最後には、その場所であなたは「猫ジャラシ」のような道具を使って、猫たちに「遊び」を仕掛けてください。 他の猫がいる所で、他の猫を意識せず、「普通にあなたと遊べる事」が出来る事。
2頭の猫との「遊び」が、「猫のケンカの仲裁プログラム」最後の仕上げです。

 

最後にもう一度申し上げます。 この「猫のケンカの仲裁プログラム」の実施に当たっては、3カ月間ぐらいかけて「焦らずゆっくり」と双方の猫が、慣れあえるように時間をかけて行ってださい。
2年間離れていたのですから。

キットうまく行きます。 以前のように「仲良し、こよし」の生活に戻れますよ。
Yes, you can.
おわりです。