*

かた21動物病院

人とペットの良好な関係を願う

質問箱

【「 お一人様高齢者に、ペットを飼わせて問題あるの?」 (Q&A: 30901-01)】 30901-01


【「 お一人様高齢者に、ペットを飼わせて問題あるの?」 (Q&A: 30901-01)】
* 「人とペットとの良好な関係」とは? *

 

【Q: 30901-01 お一人様高齢者に、ペットを飼わせて問題あるの?】
私には73歳になる父がいます。 昨年夏に母が亡くなり一人暮らしをしています。 口では「一人暮らしも良い」と言うような事を話しているのですが、内心がっくり来ている様子です。 特に趣味的なものはなく、どこかに出かけている様子もありません。 毎日テレビを見てゴロゴロしているようです。 私が子供の頃、家には犬がいました。 それで「子犬をプレゼントしてでも飼わせようか」と思っているのですが、父は「少々血圧が高く、心臓も悪い」ようで、不安もあります。 主人は「小鳥ぐらいがいいのでは?」と言っています。 一人暮らしの老人に、ペットを飼わせて何か問題がありましょうか? ちょっと前に「小鳥からオーム病が、人に感染する」と言うような事をテレビで話していました。 少々心配しています。 どうでしょうか? かた先生の見解を「教えて先生質問箱」致します。 よろしくお願いいたします。
福岡市 父思いの昔は娘

【A: 30901-01 お一人様高齢者に、ペットを飼わせて問題あるの?】
 よっしゃ! 任しといてちょうだい。 親孝行のお手伝いですね。 ありがたく、二つ返事で「この相談」を承りました。 
人生100年時代、「お一人様高齢者とペット飼育の問題」ですね。 タイムリーです。

当院は「人とペットとの良好な関係を願う、かたニャンワン(21)動物病院」と言う長い名前が、正式名称です。 そういう名前を付けたのは、もちろん日常の診療業務を行っているかたわら、日々「人とペットとの良好な関係」とは、どう言う関係を言うのか? を研究? しているからです。 そのご縁で以前には、ある雑誌の読者相談室を担当していましたので、こう言うようなご質問も得意な分野です。 

それでは「教えて先生質問箱」を始めます。回答の順序・構成を表示いたします。 
1、 「犬が人に対して、良い効果を与える」と言うのはなぜ?
2、 犬が高齢者の「意識・活動に関し、改善した」と言う報告(イギリスの論文から)。
3、 犬が高齢者の「健康(循環器)に関し、改善した」と言う報告(オーストラリアの論文から)。
4、 追補、 かた先生からの「まとめと、アドバイス」です。

1、 「犬が人に対して、良い効果を与える」と言うのはなぜ?
 「犬が人に対して、良い効果を与える」のは、「犬が幼児の様に、継続的に人に甘え続ける」と言う事が主たる理由です。

①、 犬と人間には共通点があって、その重要な点に「外交(社交)的性格であって、群れ社会を作る生き物だ」と言うことができます。 つまり「仲間意識が強く、許容されると仲間とのかかわりを楽しみます。 また、この事は「生涯にわたって、続けて行く」事ができます。 ずうっと仲間で居る事に「安心感を持つ」のです。 

②、 もう一つの重要な点は「好奇心」です。 自分たち以外にも、なんにでも興味を持ちます。
 その事は、ある意味で「人と犬は共に、幼稚性を持った生き物だ」と言えます。 大人になってからも「遊びに興じる」事が出来、そしてそれを「楽しいと思う気持ちで、持続する」事ができるのです。 双方で「楽しく遊び、癒しあえる」と言うことです。
 犬を飼うと言う事は、お父様の年齢や境遇からすると「相棒、つまり伴侶(コンパニオン)を得る」と言う事にもつながります。

③、 そしてまた、「自分たち(群れ)に、わかるシグナル(合図、伝達方法)を持つ」事が出来ます。 ボディ―ランゲージもその一つです。 双方で「コミュニケーションを取り合える対象だ」と言う事です。 「命令・指示を出して、それに従う事にも喜びを感じる」事が出来ます。

④、 人は、犬に食べ物を分け与えることで「喜びを感じ」ます。 「共に生活をしている」と言う喜び(共感)です。 コンパニオン(仲間)意識です。
 それは、数万年前にオオカミであった「犬の祖先が犬に進化し、人と共に生活する事に適応できた事実は、つまり大いなる好奇心と、いろいろな環境への高い順応性」を持っていたからです。 「犬は人と濃密に係わってきた12,000年の間で、とても甘えん坊のペットに変貌した」のです。

 その進化・変貌の今に至る期間、「人には犬と共に生活をしている」と言う喜び(共感)をもって、「人と犬は、コンパニオン(仲間)意識から食べ物を分け与え続けてきたと言う歴史」があるのです。
桃太郎さんも「ついてくるなら、あげましょう」と言って、食べ物を分け与えています。



⑤、 人と犬は、見つめ合うことで「特別な感情を持つ」事が、わかっています。 それは「母親と赤ちゃんのような感情で、特別なホルモンが分泌される」のです。 この事が「癒しの感情の証明」とされつつあります。

犬が飼い主を見つめ遊びに誘おうとする姿を、また逆に飼い主が犬を見つめる時に「お互いの感情をリラックスさせる、ホルモンが分泌」されます。 それが「癒し」と呼ばれる効果を発揮するのです。
それは「赤ちゃんが母親を見つめる、そして母親が赤ちゃんを見つめる」。 そしてその事から次に「オッパイ(食べ物)を与えたくなる気持ちになる時と、同じホルモンだ」とも言われています。

⑥、 あなたの子供の頃に「犬を飼っていた経験がある」のなら、すでにお父様にはその意味で「十分な下地(精神的準備)」が出来ています。

 

2、 犬が高齢者の「意識・活動に関し、改善した」と言う報告(イギリスの論文から)。
イギリスでの研究で、「一人住まいの高齢者にペット(3種類)を飼わせて、意識・行動への変化を調査した研究報告」があります。
その調査は、下記の「4っつのグループ」で確認されました。
①、 「セキセイインコ」を飼育させる。
②、 「猫」を飼育させる。
③、 「犬」を飼育させる。
④、 何も動物を飼育させない。

結果
 ペットを飼育させた「すべてのグループで、他人に対する態度や自らの心理的な面、及び健康に対する面でも明らかに改善が見られた」と言う結果を出しています。
具体的には、
①、 人と会話をする回数が増えた。(社交性が増した)
②、 「私が頑張って、この子の面倒を見てあげなければならない!」との日々の「義務感から、自分の健康に気を付ける」ようになった。(健康に情熱を傾けた)
上記①②が「ペットを飼った3つのグループでの、共通した変化である」と報告されています。
③、 「インコを飼ったグループ」では、毎日「窓際に鳥かごを移動させる」ことで、窓の外を歩く人から声を掛けられ、話をするようになって友達が増えた事。(明るくなった)
④、 「猫を飼ったグループ」では、初めの一カ月間で「けがや風邪など、軽度な健康問題が著しく改善した事」が報告されています。
⑤、 特記すべきは「犬を飼ったグループ」です。 上記「インコや猫のグループ以上に、毎日の散歩時間が著しく増加し、その事が継続した」と言う事。(自信を持った)
⑥、 最も重要な事は、「人との会話が増え、話題も過去の事では無く、未来の話題が多くなった」と言う事です。(希望を持った)

3、 犬が高齢者の「健康(循環器)に関し、改善した」と言う報告(オーストラリアの論文から)。
オーストラリアでの類似(医学的見地)の調査結果でも、同様の報告があります。
①、 ペットを飼育者させると、その飼育者の血圧(収縮期)が下がった。
②、 ペット飼育者のコレストロール値が、非飼育者より低くなった。
③、 犬や猫の皮膚をナデルことで、心拍数が下がった
と言う調査結果を出しています。

この事は、「軽度の心臓病のある人が、犬を飼育する事はお勧めできる」と考えられます。 また、高高齢者や傷病者で散歩そのものが好ましくない方には、猫が良いコンパニオンアニマルになるとも言えます。 しかし、近年では「たとえ車いすででも外出できる方には、犬の飼育を勧める」としている研究者もいます。

 一方で、「高齢者が、猫をベッドに入れて寝る」事を、危険視する報告もあります。 締め切った部屋で、また猫と近い距離で呼吸をする事で、小さな毛が肺や気管支に入り込み肺炎の原因になった例も報告されています。 まあ、「過度の接近は慎むべき事」でしょう。 

4、 追補、 かた先生からの「まとめと、アドバイス」です。
①、 ペットとその飼育者(人)の関係は「話しかけたり、散歩相手であったり」するわけで、決して「ペットから自分の事について、価値判断を下される事が絶対に無い関係・自分を必要とする者がここにいると言う頼られる関係」があります。

②、 「暖かな感覚を得たり、変わる事のない情熱的サポートを受けられたりする事で、失い始めていた情熱と信頼・自信と希望を持てる事で、老いと言うストレス感が軽減される」と、解説する研究者もいます。

③、 これらの論文は、あなたのお父様のように「配偶者や親族、また親しい友人の死亡などで、多大なストレスを感じている方に対し、ペットの存在は一定の効果がある」事を示唆してます。

アメリカの詩人ウルマンも「人は情熱と信念、自信と希望がある限り若く」と言っています。

 

④、 お父様が散歩可能な健康状態なら、ぜひ「小型犬の飼育」をお勧めしたいと思います。 小型犬と言うのは「ダッコして、歩ける大きさ」と考えてください。 おのずと「成犬での体重は4~9kg」と言う事になります。 長毛種・短毛種の違いがあっても、いずれも良きコンパニオンア二マル(伴侶動物)になってくれるでしょう。 

*注意しておきますが「小型犬であって、決して超小型犬(3kg以下)ではありません」お間違いの無いようにお願いいたします。 管理者の精神的余裕(安心感)に違いが起こるのです。

⑤、 お父様の年齢的問題も含め「犬を飼うという決断」に少し戸惑う時、一つの重要な魔法の言葉は「旅行や万一の入院などで犬の管理にヘルプが必要な時には、あなたがサポートをしてあげる事」を申し出てください。 そうすれば、この件「一件落着」間違いなしです。
もちろんその事の準備として「子犬の時にあなたのご家族の全員が、シッカリ抱っこしたり、食べ物を与えたりして、匂いや敵ではなく仲間なのだと言うことを覚えさせ、警戒心を解いておく」必要があります。
その事はまた「お父様とあなたのご家族が、今後の後期高齢期をより信頼しあえる関係となり得る一歩」で、とても良い事です。

まあ、「案ずるより、産むがやすし」で、きっと全てがうまくいくものですよ。
「おわり」です。