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かた21動物病院

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質問箱

【 犬や猫にも「まくら」を使って寝させた方が良いのか? (Q&A:30604-01)】 * 「テレビで猫が、うちの プンちゃん と同じことを言っていた!」 * 30604-01


【 犬や猫にも「まくら」を使って寝させた方が良いのか? (Q&A:30604-01)】
*	「テレビで猫が、うちの プンちゃん と同じことを言っていた!」 *

 

【Q:30604-1  犬や猫にも「まくら」を使って寝させた方が良いのか? 
先生こんばんは。 昨日(2月27日)夜8時から、RKB(TBS系)テレビの「人間観察モニターリング」という番組で、「猫カフェで、猫との会話ができると?」と言う、ドリトル先生モドキのドッキリ物を見ての、ヒラメキ疑問ですが・・・。 

話は、「猫カフェに行ったご主人が、猫にリクエストされて自分のタオルを、猫の首の下に、まくらのように引いてあげる」という話です。 翌日、その猫が「おねーさんの姿」で、そのご主人にお礼に現れると言う「猫の恩返し」の落ちが付きます。

 このTV放送を見ていて、「うちの猫(プンちゃん)と同じじゃん。」と思ったのです。 それで、ちょっとかた先生に質問があるんですけど、人間が寝るとき「まくら」を使って頭を高くして寝たり、足を高くして寝ると、「むくみや疲れが取れやすくていい」と聞きますが、「犬・猫も頭や足を高くして寝た方が、体に良い」と言う事かあるんでしょうか?

わが家のプンちゃんも、私の枕の上で寝るのが大好きで、いつもそうして寝ています。 「まくら」を使って寝るのと使わないのでは、なにか違うのでしょうか? プンちゃん専用の枕を作ってあげた方が良いのでしょうか? ぜひぜひ教えてください。 お願いします。 「教えて先生質問箱」入れさせていただきます。
福岡市 プンちゃん(猫)のママ

 

【A:30604-01 犬や猫にも「まくら」を使って寝させた方が良いのか? 】
*	「テレビで猫が、うちの プンちゃん と同じことを言っていた!」 *
おもしろい質問ですね。 そうですか、テレビでやっているのを見て「あ、やっぱり!」 と思って、かた先生に聞いてみよう? とお考えになった。 じゃ~まだ「フレッシュで、とれたてピチピチの疑問」ですね。 しかし、残念ながら、私はその2月27日夜8時には、まだ病院で「教えて先生質問箱:(Q&A:30603-01)、 食後の、犬の食器と猫の食器はヌメリ感が違うのはなぜ?」を、3月1日アップのために原稿の最終チェックをしていたので、私はそのRKB(TBS系)テレビ8時の番組「人間観察モニターリング」を見逃しました。
 
犬・猫に「まくら」ですか? 重ねて、申し訳ございませんが、少なくとも私の記憶の中では、犬・猫に「まくらを使う効用」を説明している、マトモな論文や文献を読んだと言う記憶がございません。 
ただし、イギリスの「マンガ」では、見たことがあります。 『交通事故に遭って犬が骨折。 ギブス固定をした片足を吊って、片腕もギブスで包帯してその腕を首から吊って、「まくら」を使ってベッドで寝ていて、点滴治療を受けながら、口でパイプタバコを吸ってる』と言う絵で、その犬の寝ているベッドの横から、獣医さんが「タバコは肺がんになるから止めなさい」と論しているマンガでしたョ。 この表現では「まくらが、リラックスする」というイメージに、つながっているのでしょう。

さて、「教えて先生質問箱」を始めます。 回答の順序・構成を表示いたします。 

1、 「枕を高くして寝る」は、心配事をかたずけて「安心して寝る」と言う事。
2、 犬・猫は、いつも快眠です。 「心配事(悲観的思考)」は、ありません。
3、 体毛が少なく、汗腺が発達し「コンニャク型胸郭(きょうかく)」の人間は、寒がり。
4、 体毛があり、汗腺が未発達で「チクワ型胸郭」の捕食者は、寝冷えをしない。
5、 警戒型睡眠「レム睡眠」も、犬・猫の「安心・安眠」。
6、 「足のむくみ」発生は、二足歩行者(人間)の欠点。
7、 犬・猫に「足のむくみ」が、あったとしたら「それは心・肝・腎臓の病気」です。
8、 あなたの枕で寝るのは「枕に付いた、あなたの汗のニオイが好き」だから。
9、 「アナと雪の女王」の、あの歌のように!



1、 「枕を高くして寝る」は、心配事をかたずけて「安心して寝る」と言う事。 
さて、まず「まくらを高くして寝る」と言うのは、「心配事を全てかたずけて、安心してぐっすりと寝むる」と言う、昔の中国の戦国時代のお話が始まりと伝えられています。
日本の例では、類似の「安心=安眠説」以外にも、昔々「男性がチョンマゲ、女性は日本髪」という髪型をしていた頃、「まくら」が低いと髪型が翌日にくずれてしまうのが気になって「眠れない」ので、「ある程度高い」まくらを使ったほうが、髪型の崩れを気にせず「良く寝られる」(高まくらの効用説)と言う説もあります。

いずれにしても、現在のような「髪型で、朝シャン&ドライヤー」では、全く気にせずに寝るので、昔のように「高いまくら」が必要というわけではありません。 むしろ、「まくらが無いことで、不都合がある」と言う事の、しっかりとした根拠こそ、あまり見当たりません。 

2、犬・猫は、いつも快眠です。 「心配事(悲観的思考)」は、ありません。
犬・猫には、過去の経験から未来を推測することがあっても、「悲観的に物事を推測し、心配する」と言う脳の働き(悲観的思考能力)はありません。 この事は、近年多くの「動物生態学者」が、いろいろな実験結果から報告しています。 その逆に「悲観的思考能力を捨てた結果、その反対の楽観的思考能力(いろいろな物事に興味を持つための、大いなる好奇心を抱く思考形態)を、獲得」したのです。 

その事は、犬の祖先である狼が、犬になるまでに進化し、人と共に暮らす事が出来るまでの長きに渡り、人と濃密に係わって良き伴侶動物(コンパニオン・アニマル)になるまでの12,000年間、その好奇心を持続する事が出来たのは、この「楽観的思考能力」を獲得したからで、犬・猫にとっては重要な特異的な脳の働きです。(Q&A: 30901-01 お一人様高齢者に、ペットを飼わせて問題あるの? 参照)。
その事は、犬・猫が「自分の未来を測らんで、悲しみのあまりに自殺した」と、言う事が無い事実からも、推察できます。
つまり、犬・猫には「心配事があって眠れない」ということが無いのです。 犬・猫の睡眠は「いつも安眠・快眠」なのです。 安眠枕を使わなくても、快眠します。

3、 体毛が少なく、汗腺が発達し「コンニャク型胸郭(きょうかく)」の人間は、寒がり。
ただ、寝具としての今日の「まくら」は、首と後頭部の下に「多少段差があるほうが、掛布団と肩口の隙間を埋める為、保温という効果がある」と言えます。 また、横向きに寝た時にも、「肩と首・頭との段差を調整」してくれます。

しかし、この事は「体毛が少なく汗腺が発達し」、両手を左右に大きく広げる事が出来き、両肩と腕の可動域が広く自由に使えるように、横に広がった「おでんのコンニャク型胸郭(きようかく;平たい胸)を持つ霊長類(人間・チンパンジー・ボノボ、ゴリラ・オランウータン・テナガザル)である人間」に、その欠点を補い保温のために上下の布団を使って、あおむけに寝る「保温・安眠習性」があるためで、「まくらが保温・安眠に便利な睡眠グッズ」になったと言えます。

 



4、 体毛があり、汗腺が未発達で「チクワ型胸郭」の捕食者は、寝冷えをしない。
しかし、両肩と腕の動き・手の利用目的・構造が人間とは全く違う「おでんのチクワ型胸郭(円筒形型胸)」を持ち、高速で獲物を追う「捕食者・食肉動物としての犬・猫では「仰向けに寝る姿」は、幼少期に時々確認できる程度の寝姿で、生涯の睡眠姿勢全体の100分の1(1%)程度以下の寝姿です。
つまり、「仰向けにオマタもあけっぴろげで寝る」ことはまれであって、通常の「犬・猫の安眠の習性としての寝姿」ではない。 また、保温のための被毛が発達していて、汗腺も発達していない「食肉目の動物(肉食性哺乳動物として、犬猫が所属する分類学的グループ)は、寝冷えをしないので布団を使って寝る習性が無い」ため、まくらを使う必要性が基本的に無い。 もちろん「横向きに寝ても」、肩と首・頭との段差がほとんどないので、「まくらで首・頭の高さ調整をする」必要性も感じません。

5、 警戒型睡眠「レム睡眠」も、犬・猫の「安心・安眠」。
神代の昔から、まくら無しで「ゴロリと地面に頭をつけて、寝てきた」犬・猫にとっては、たとえ寝ている間であろうと、床・地面から伝わってくる振動を「警戒心」を持って感じ取る寝方(レム睡眠)も、「野生動物の一員、としての習性的安心・安眠」と言う寝方、なのかもしれません。  だから、犬・猫は「よく夢を見て、寝言を言う」のです(Q&A:33601 猫も夢を見るの? 犬も夢を見るの? 参照)。 プンちゃんと一緒に寝ているあなたは、その事に「すでにお気づき」のはずだと思います。

つまり、犬・猫に対して「まくらの効用」そのものの、意味が考えられません。

 

6、 「足のむくみ」発生は、二足歩行者(人間)の欠点。
人が歩き疲れたり、立ち仕事で足に「むくみ」がきた時に、少し足のほうを高くして寝ると「むくみ」が取れることがありますが、これは人が二足歩行をしている動物であるための欠点です。 心臓の位置が、四足歩行をしている犬や猫に比較し、「全身への位置関係(バランス)としては、比較的に高い位置に心臓があり、特に足への血液供給循環器としては、悪い(不利な)位置にある」と言うことが言えます。

私の相棒犬、「パグのC・Jくん」も時々二足歩行をします。 しかし散歩に連れて行ってもらう時や私の座っている椅子の所で二足歩行をしてみせて「何かオヤツをくれ」と要求すること以外、あまり長時間に渡って二足歩行をしてみせませんので、彼らの足のむくみを、私は気にしたことがありません。
近いうちに一度長距離散歩をして下腿部分(人のふくらはぎ相当部)を測定し、むくみの発生が確認出来たら、彼らが寝入るのを待って肢の位置を、彼らの心臓の位置より上になるように、少し床板を斜めにして寝かせてみましょう。 そして、寝て起きたときの「目のパッチリ度」も「ふくらはぎサイズ」と同様に測定して、「足を上げて寝ることによる、犬の足のむくみ解消度を測ってみましょう」。 実験としては面白いと思います。

7、 犬・猫に「足のむくみ」が、あったとしたら「それは心・肝・腎臓の病気」です。
確かに、私の病院でも「四肢にむくみがある犬・猫を時々治療する」ことがありますが、私は残念ながら未だに「足を上げて寝かせなさい!」との生活指導指示を出した事がありません。 通常このような場合は「心臓病」「肝臓病」「腎臓病」を疑ってみるのが一般的です。 また、まれに消化器疾患・腫瘍・アレルギーでむくみが発生する場合もあります。 しかし、それぞれの対処策で「いける」と思っています。

 

うちの相棒犬のC・J君もグッスリ寝る時に、両手足を開けっぴろげで、腹を上にした仰向け姿勢で寝ている事も、たまには見ています。 ひょっとしたら本当に疲れて、そのリハビリの為に両手足を上にして、おまたも開けっぴろげで寝ているのかもしれないと思えてきました。 がしかし、やはり私は獣医師です。 あなたの目で診て、ワンちゃんの足に「むくみ・浮腫(ふしゅ)」が確認できるとしたら、「まくら」を使ってその足を心臓の位置より上にして寝かせる事よりも、ホームドクターにその旨を話し、「心・肝・腎等の検査を受けられる事」をお勧めいたします。

8、 あなたの枕で寝るのは「枕に付いた、あなたの汗のニオイが好き」だから。
少なくとも私は、犬・猫が「まくら」を使用して寝ることで、何らかの「効用がある」とは思っておりません。 また犬・猫は「平たんな状態で寝ることを」好むもので、それ以外は私どもも含めて「習慣的な行為・状況」で、それぞれが「安心した眠りに入れるものである」と信じています。 その事は、「旅先などでは、よく眠れない」と言う事を、「まくらが変わると、良く眠れない。」と言うふうに表現する場合もあります。 また私自身、日頃より「まくらは、低いほうが寝やすい」と感じていて、それがなくても不自由しない人です。 だから「高まくらをして寝る」ことはありません。

さて、最後のご質問の「まくら」を使って寝るのと使わないのでは、なにか違うのでしょうか?については、
たぶん、あなたのプンちゃんもあなたのベッドで寝る時以外は平たんな場所で寝ていると思います。 文面にもありますように、「あなたのベッドでプンちゃんも寝ていて、あなたのまくらの上を好んでいつもそこで寝ている」のなら、それは「まくらにあなたの汗のニオイがついていて、そのニオイを嗅ぎ、そこに居ることで安心できる」からだと思います。(教えて先生質問箱: 「犬猫は、人のワキガのニオイが好きって、ほんと?」 Q&A:30803 参照)
つまり、「まくら」を使って寝るのと使わないのでは、「プンちゃんの好みのニオイが、そこに強くついた場所かどうか?」 の違いであって、「まくらの効用」と言う意味からは、プンちゃんにとって全く何の違いもありません。

いずれにしろ、プンちゃん「専用のまくらは、必要ない」と思いますよ。

 

9、 「アナと雪の女王」の、あの歌のように。
それでも、テレビや映画・小説にあるように「もし、犬・猫(動物)と話せるとしたら」、素敵な事でしょうネ。
イヤしかし、日頃より犬・猫の事を自分は理解していると思っているが「ひょっとして、実は多くの誤解があって、お前はアホだ! マヌケだ! と、動物からボロクソに言われているのが分かって、ガックリ落ち込んでしまう」かもしれません。

「もしそうだとしたら、チョッと怖い!」ので、やはり私は「ドリトル先生でなく」て、このままの「かた先生で良い」と思いました。
今日は、お風呂で「アナと雪の女王」のあの歌をうたって、「ありの~、ままの~、かた先生でいいのョ~」と歌って、凡人の自分を慰めておきます。
おわり です。