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かた21動物病院

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質問箱

【「 爪切り、どうすりゃ良いの? 」 (Q&A: 30602-01)】 30602-01

【「 爪切り、どうすりゃ良いの? 」 (Q&A: 30602-01)】
*	「なかなか爪を、切らせてくれません」 *



【Q: 30602-01 「 爪切り、どうすりゃ良いの? 」】
*	「なかなか爪を、切らせてくれません」 *
 M・ダックス 2歳の雄を飼っています。 先日、爪切り道具を買ってきて、「サ~切ろうと思った」のですが、犬が嫌がってなかなか切らせてくれないのです。 だいぶ長くなってきているし、「何とか自分で切りたいのですが、血が出るのもちょっと怖い」気がします。 どの位置から切れば良いのでしょうか? シャンプーに出した時にも、窓越しに見ているのですが、なかなかうまく行きません。 インターネットを見ていて、「かた先生の質問箱」を見付けました。 ぜひ爪切りテクニックのポイントを知りたく「教えて先生質問箱」お願いいたします。 
八代市 M・ダックス、トムの君のママ

【A: 30602-01 「 爪切り、どうすればいいの? 」】
 オット~これは欲張りさんですね! あなたは「トリマーさんと同じぐらい上手に、爪切りしたい」、そして私に「そのテクニックを教えろ!」と言っているんじゃないでしょうね。 トム君をシャンプーに出した経験がおありですので、ペットの美容師さんの事を「トリマーさん」と呼ぶのをご存じですよネ! そのトリマーさんは普通一人前になるためには、2年間学校で勉強し、実習して「試験を受け認定書」をもらって、やっと実務に入ってくるのです。 「爪切り道具を買ったから、どう切れば良いか教えろ!!」っておっしゃるのですか? 怒られますよ!!
 
 技術と言うのは、「簡単そうに見えて、実際自分でやってみると、なかなかうまく行かないものです。 上手な人がやっていると、特に簡単そうに見えるものです。
それを「巧(たくみ)、職人ワザ」と言います。 
 難しい事を、簡単にやってのける人を、「技術者」と言います。 簡単な事を、難しそうにやってみせるのを「手品師」と言います。

 しかし、そこまでいかなくても「それなりに、何とかうまくゆく方法を教えろ」と言う心がイージーと言いますか、何と言えば良いか・・・・? しかし、そこは「かた先生!!」 そのあいまいな部分で、教えてしまいます。

「教えて先生質問箱」始めます。 回答の順序・構成を表示いたします。
1、 爪切りを、嫌がるのはあたり前。
2、 イヤがらないで、爪を切らせるポイント。
3、 爪を切り落とす(切断)の位置。
4、 爪を切りすぎて出血した時、どうするか?
5、 爪のどの位置(どこま)で、切るのか? 判断目印があるか?

 

1、 爪切りを、嫌がるのはあたり前。
 ①、 爪は、犬・猫にとって大切な武器です。 武器を取り上げられるのは、非常に心細い事に思えるのでしょう。 それ故、その武器をしまってある「手」を握られる事も犬猫は嫌がります。 単に「イヤ」ではなく、「恐怖感をもってイヤ」なのです。
 特に真正面から手先を触る(握る)事は、犬猫に「イヤな」印象を残します。 その意味で、日頃からの「お座り、お手&握手、お替り&握手」の訓練は、意味のある良い事です。

 ②、 人の爪は「ネイル(扁平爪)」、犬猫の爪は「クロー(かぎ爪)」です。 それらには、進化・発達した理由と構造上の違いがあります。
*	ネイル(扁平爪)の方は、「手で物をしっかり握るため」に発達したもので、肉と爪は別々に独立した形で、生えてきています。 爪を切ったりヤスリで削ったりしても、「痛みや圧迫感を、爪の根元で感じる」事はありません。
*	クロー(かぎ爪)の方は、「早く走るためと、獲物を突き刺し捕らえ抱え込む(逃さない)ため」に発達してきたもので、肉や神経を包んで生えてきています。 爪を切る時に切断の圧迫感や痛みを、爪の根元で感じます。 それが続くと「犬猫は恐怖感が伴って記憶」されて行きます。 その悪い印象が積もり積もって、だんだんと「嫌がる、騒ぎ立てる、噛みつく」ように、記憶されるのです。

2、 イヤがらないで、爪を切らせるポイント。
 ①、 手・足をつかむのは犬の背中側からつかみ、寝ている間に、そっと切れ。
 これは家庭でのみ出来る方法です。 犬を膝の上に抱っこして(アナタのお腹側に犬の背を向ける形で)、ゆっくりしていると犬はリラックスしてきます。 うとうととした感じが出てきましたら、手の指先の肉球の所を、上下にそ~と押さえます。 すると、爪が出てきます。 初めの内は何度かその動作をやって、終わります。 後は、なでなでしておきます。 犬がその事に慣れて警戒心がなくなった頃に、爪切り実行です。

②、 全部の爪を切ろうと思うな。 切るのは、1日1本だけです。

 

 今日は、1本だけです。 翌日にまた1本。 また次の日に、また1本切るだけです。 寝ている間に「1本の爪だけを切って」知らん顔を決め込むのです。
犬には、「何があったかわからない間に、終了して」しまいます。 犬は「何があったかわからないまま、忘れて」しまいます。 「1日1本、3日で3本」と言うように、切って行きます。
 ③、 親指を忘れるな。 爪は全部で18本。
 前足(手)片方の爪は、人と同じように5本です。 両方の手で10本です。 親指は、少し上の方の内側についていますので、忘れないでください。 
爪を切り忘れていて、「の」の字のように伸びてきて、皮膚に食い込んでいる状態の爪も、時々見受けます。 高齢の犬・猫がビッコ引く原因の一つです。

 

 後ろ足の親指は、基本的に犬・猫には無いのが普通です。 片方の足に4本、両足で8本となります。
両手足で、合計の指・爪の数は18本です。 1日1本、3日で3本、18日間で18本の爪を切るつもりで進めます。 焦らなくても、1カ月間で必ず全ての指の爪を、切る事が出来ます。 ただし、「狼指(ろうし)と言って、後ろ足の親指がある子もいる」ので、要チェックです。 この場合、爪の数は全部で20本です。

④、 「爪切り道具」を選んでください。


 
 *犬用として、「ギロチン型」爪切り。
 *猫用として、「ハサミ型」爪切りがあります。
もちろん、「ギロチン型爪切り」で、猫の爪も切れます。
また、猫では「人用爪切り」でも、切る事が出来ます。



 ⑤、 切る時には、イッキに切断する事。 
 切る位置については後に話すとして、切る時には「一瞬で」切り取ります。 この事はとても重要です。 犬の爪は「クロー(かぎ爪)」です。 じわじわと力を入れて行く「ためらい切り」では、犬はその爪にかかる圧力を、爪の根元で感じ取り「痛みとともに、恐怖感も覚えてしまいます」。 犬が爪切りを嫌がる根本原因は、」このじわじわとした、ためらい切り」が発端です。 シャープな刃物で一気に切断されたときには、たとえ出血したとしても痛みは少ないものです。
 さて、ここまでが準備と心構えでした。

3、 爪を切り落とす(切断)の位置。 
さてお待たせいたしました。 爪を切りましょう。
①、 血管の少し手前で切る。
白い爪を持った犬や猫は、中の血管の伸び位置が外から見えるので切りやすいです。 しかし、茶色もしくは黒い爪を持った犬や猫もたくさんいて、それらの犬や猫は残念ながら、血管の伸び位置が外から見えません。 その場合には、血管の位置をイメージしてカットします。 ま~、上手になるには「時に出血も覚悟する」必要があります。
 



「切る位置「AとB」を、図式化して示していきます」ので、参照してください。
A、 の位置で切ります。
B、 の位置で切ると出血します。
 ただし、「爪切りでの出血は、すぐに止まります」ので心配いりません。

4、 爪を切りすぎて出血した時、どうするか?
 ①、 基本的に「深爪切りによる出血は、すぐに止まるので放っておいても良い」のですが、床に出血の跡が付きます。 ですから、「ケージ内に新聞紙を敷いて、犬を中に入れておく」のが良いでしょう。
②、 その他の止血の方法は、「出血部分を押さえておく」と止まります。
③、 私の病院では、「爪切り専用の止血剤」を使います。 がしかし、一般のご家庭では、そのような備えがありません。 ②、の方法で、「押さえ(圧迫)止血法」をしましょう。
④、 どうしても「何かで出血を止めたい人」は、「裏技」を使うしかありません。 「裏技」と言う技は、自分だけが知っていて「重要な時にナイショで使う技で、他人には教えたくない」のです。 「そこを何とか教えろ」と言われると、かた先生は「ナイショ話」で、たいがいのご家庭にある「アレ」を使って止血する方法、を教えちゃいます。 人には「決して言わない様に約束」してくださいネ。

*	深爪切りでの出血は、台所にあるアレ⇒「コーンスターチ」を使って、出血を速やかに止めることができます。ケーキやお菓子を作る時に使う「コーンスターチ」を少量つまんで、爪の出血部分に押し当てて、そのまま10秒ほど押さえておくと止まります。

④、 マッチを使って止める方法。 
「マッチ」をすって火をつけます。 その火が火薬部分で勢い良く燃えたら、その火を吹き消して、すぐにその丸い部分を「爪の出血部分」に、押し当てます。 一発で止まります。
「エ」!! 今時、マッチなんて持ってない。 あんた、「うるさい人」やね!! いいですか、家に「マッチ」があっても邪魔にはならないと思いますがね~。 マッチが無かったら、ガスレンジで火をつけて、スプーンの柄の部分を焼いて使えばいいんです。(注意:反対側・手で持つ側を「布きん」で巻いて持たないと、手がやけどします。) 何!! 今度は「うちはおオール電化で、ガスコンロが無い」。 怒るで、しまいに。 ライターの「チャッカマンとかブリザ」という、「火口、先の長いライターがあるでしょう」。 火をつけて先が熱くなって、色が変わったら「火を消して、先を当てる」。 これ使って!! どうだ、マイッタか??

5、 爪のどの位置(どこま)で、切るのか? 判断目印があるのか?
上手くなるためには、「実際に失敗を恐れず」やって見るしかありません。 図解していますので、参照してください。

 

①、 第1カット線は、肉球(指球)の位置に水平に切断します。 出血が無ければ再度切り進みます。

②、 第2カット線は、爪の内側の角に対し、45度の角度で切ります。ここからは微妙な前進です。 慣れると早いんですが。
 * ここで「爪の切り口」を、よく見てください。 出血が無く「均質の硬い構造」の場合(イラスト右下、参照)は,もう少し切り詰めます。
③、 切り口が「均質無構造の場合」、第3カット線は第1カット線と平行に、爪の外側のラインでカットします。 「まだまだ切り詰める」サインです。
 ④、 切り口に「半円形のサイン」が出ている場合(イラスト右下、参照)、爪の前方3分の2の位置で水平に、第4カット線を切ります。
 * 切り口の「半円形サインは、そろそろストップ、注意してね! のサインです。
⑤、 そしてその後、再度その切り口中央部分より、第5カット線を切断します。
⑥、 もし、切り口に図(イラスト左下、参照)のような「中央に白っぽい(灰色の)柔らかい円形のサインが現れたら、、そこが限界線」だと思ってください。 そのすぐ裏まで血管が伸びてきています。
少しずつ切り詰めていけば、そのサインに当たります。 そこが限界の位置です。

尚、初めに申し上げたように、カットは一瞬にて行ってください。 もし血が出ても心配いりません。 すぐに止まります。 いずれにしてもすぐに慣れるものです。
 誰にでも、「初めての時」はあるものです。
上手になったら、それは「神様が勇気を与えてくださった事」と、そして「かた先生が教えてくれた事」に感謝です。
ハイ、頑張ってください。 もちろん時々シャンプーやトリミングに出して、「プロのトリマーさんにお願いする」事も良い事です。
「おわり」 です。