*

かた21動物病院

人とペットの良好な関係を願う

質問箱

【庭に来るタヌキから、犬に病気が移らないか? 心配です。(Q&A:30304-01)】 30304-01

【庭に来るタヌキから、犬に病気が移らないか? 心配です。(Q&A:30304-01)】

 

【庭に来るタヌキから、犬に病気が移らないか? 心配です。(Q&A:30304-01)】

【Q:30304-01 庭に来るタヌキから、犬に病気が移らないか? 心配です。】
わが家は「町の端っこ」と言いますか、家の後ろ側に山に続く小高い丘があります。 近くに団地が出来たりしたせいか、最近タヌキがわが家の庭に来るのです。 時々、家庭菜園の野菜や、花の球根が食べられたりしています。 これも、「ちょっと閑静な地域に住んでいるのだから仕方ない」と思っているのですが、ただ1つ心配なのは、「タヌキから犬に移る病気って、あるのでしょうか?」 うちのコーギーは、ちゃんと予防注射はしています。 ちなみにタヌキは普段は2~3匹ですが、たまには6匹の時もあります。 心配です、どうでしょうか? かた先生「教えて先生質問箱」、お願いいたします。 
鹿児島市 タヌキとおじさん

【A:30304-1 庭に来るタヌキから、犬に病気がうつらないか? 心配です。】
タヌキさんが毎晩やってくるのですか? 考えようによっては「風流なこと」ですね。 その時、おたくのコーギーちゃんはどうしていますか? 「ワンワン吠えて、うるさく騒いでいますか?」、それとも「友達が来た」として「尾っぽを振っていますか?」。 たぶん、「警戒感を持って騒ぎ立てる」前者の方だと思いますが。
W・コーギーと言う犬種は、イギリス発生の「ハーディング・ドッグ(牧場で家畜の群の管理用番犬)」として改良されてきた歴史があります。 通常このようなケースでは、警戒心を発揮して「耳をピンと立ててワンワン吠え、臨戦体制を取る」のが一般的ですが、中には平和主義者のワンちゃんもいます。

 

さて、「タヌキと犬が同じ病気にかかるのか?」 「双方に病気を移し合うのか?」 と言った内容の質問ですね。 はい! 了解いたしました。 ご質問の回答は「生物分類学的方向」から回答する手法が、分かりやすいと思います。

では、「教えて先生質問箱」を始めます。 回答の順序・構成を表示いたします。
1、 タヌキと犬は「近縁(親類)関係」です。 「双方で、移し合います。」
2、 コーギーちゃんに必要な予防処置。 狂犬病予防注射は、いりません。
3、 「生物分類学」上の名前、「学名」から概ね推察できます。
4、 いくつかの動物の学名表。 表にしておきました。
5、 どんな病気が、移るんですか?
6、 近年では、「遺伝子DNA分子から、どのくらい近縁関係なのか?」を測ります。
7、 狂犬病予防は、いらないのですか? 「日本に無い病気」なのでいりません。


1、 タヌキと犬は「近縁(親類)関係」です。 「双方で、移し合います。」
結論から先に申し上げますが、タヌキと犬は生物分類学上の「近縁(親類)関係」にありますので、基本的な「犬の病気はタヌキ」にも、その逆に「タヌキから犬」にも、双方に病気は移し合います。 しかし、タヌキのほうは一般的に野生での生活ですので、それなりに多方面の免疫を持っているため、結構丈夫で心配する必要はありません。 それが野生動物というものです。
いや、違うんです。  「私の心配しているのは、うちの犬がタヌキから病気を移されないか?」と言う事を心配しているのです。 と、あなたは言うでしょう。 
しかし、考え方を変えれば「気の持ちよう」も変わります。 もし隣の家に犬がいて、「ワクチンも何も受けさせてもらえず、朝夕に放し飼いになっていて、あなたのお家に毎日やってくる」のなら、その犬より「タヌキの方が安全」かと思います。 タヌキの方は、野生動物の仁義として「あなたのコーギーちゃんとは、一定の距離を保っている」はずです。 所が、隣の犬は「あなたのコーギーちゃんと接触しよう」と試みます。 「コラ! あっちに行け!」 と言いたい相手は、隣の犬です。

 

2、 コーギーちゃんに必要な予防処置。 狂犬病予防注射は、いりません。
コーギーちゃんが「一般の予防処置」を全て受けているのであれば、特に問題はありません。 つまり、
 ①、 8種または9種混合ワクチン(5種混合ワクチンでは、不適切です)。
②、 フィラリア症の予防は重要ですが、狂犬病予防注射は、いりません。(注、1)
③、 毎月のフロントライン・プラス(その類似品)による、ノミ・ダニの駆除。
④、 元気・食欲・そして便の観察(うんこすこあ―使用)。
⑤、 タヌキのウンコは、「毎日見つけしだいに」たづける事。
を実施していれば、心配ありません。

「平成タヌキ合戦」のアニメに出ていましたように、距離をおいて仲良くやってください。
但し、「野生動物は、野生(野山で生きる)で!」、タヌキが気の向いたときに立ち寄る程度にしておいてください。 野良猫に餌をやるように、タヌキに餌をやる「餌付け」は、好ましい事ではありません。

3、 「生物分類学」上の名前、「学名」から概ね推察できます。
「犬と病気を共通にする動物」は他にもいますが、実はそれを分類学上で判断できるのですよ。
「生物分類学」と言う分野がありまして、それを使って解説する手法が、あなたの質問への回答として、分かりやすいと思います。
「生物分類学」は、地球上の「動物も植物も含めて全ての生き物」に、近縁(親類)グループとしてまとめて「名前(7つ)を付ける学問」です。 つまり、全ての地球上の動物・植物に「学名という分類学上の名前が付いている」と言う事です。 時々、新聞に「新種発見」と言う、見出しで紹介される「あれ」です。
この事によって、ある動物と別の動物が親類関係にあるのか? その関係は「近い関係か・遠い親類関係か?」どうかが判るよう「学名(名付け)する」ようになっています。 その「名前は、7つ」あります。

まず、初めの大分類(所属世界)で「その生き物」は「動物か?」「植物か?」と言う意味の「動物界(どうぶつかい:動物世界)・植物界(しょくぶつかい:植物世界)の区分」で分けられます。 さらに6つの区分(階級)によって全ての動・植物は、名付けられ分けられます。 ここまでは良いですか?

 

中学3年生ぐらいの理科に出てくるのですが、覚えていますか? 動物界・植物界の、界(かい)・門(もん)・網(もう)・目(もく)・科(か)・属(ぞく)・種(しゅ)の7区分          (階級)です。 すべてを通して読むと、まるでジュゲム・ジュゲムのようになるので、一般的には、最後の「属」と「種」で呼ぶ事と決めて、それを「学名(リンネの二命法)」として統一し国際化(基準化)しています。 また、動物園の各動物のオリの前には、この学名も表示されています。

そのおかげで、あなたの質問にある「タヌキと犬の病気が相互に移し合うか?」は、「それらの関係が分類学上の近縁(親類)」かどうか? 親和性があるかどうか? を見れば、おおよその判断ができるのです。 すごいでしょ!!

4、 いくつかの動物の学名表。 表にしておきました。
さて、「犬」「猫」「狸」「狐」「ウサギ」、そして狸に似た「アライグマ」を、表にしておきました。 そうすると、時々飼ってる人がいる「フェレット」も「私の名前も教えて! かた先生」 と言うと思ったので、もちろん入れておきました。

 

表のように「イヌ」「タヌキ」と「キツネ」は同じ「イヌ科の動物」ですので多くの病気を共有し、似たような病状を示しても不思議ではありません。

*例題として、「イヌ・ タヌキ・ キツネ・ そしてネコ、の生物分類学上のフルネーム」は、下記に表記しています。
イヌは、動物界・脊椎動物門・哺乳動物網・食肉目・イヌ科・イヌ属・イエイヌ種で。
タヌキは、動物界・脊椎動物門・哺乳動物網・食肉目・イヌ科・タヌキ属・タヌキ種で。
キツネは、動物界・脊椎動物門・哺乳動物網・食肉目・イヌ科・キツネ属・ホンドギツネ種です。 似てるでしょう!! 親類と言えます。
 さて、「ネコ」も紹介しておきます。
ネコは、動物界・脊椎動物門・哺乳動物網・食肉目・ネコ科・ネコ属・イエネコ種です。

ちなみに、「タヌキとアライグマ」は、良く混同されがちですが、上記の学名(分類)表から「違う科の動物」(親類では無い)、と言う事が判ります。

 

*タヌキは、英語で「ラクーン・ドッグ」です。 アライグマは「ラクーン」と言います。似ていますが違います。 アライグマは、英語表現でも「ドッグ(犬)では無い」のです。 わかりますね。

5、 どんな病気が移るんですか?
犬の「ジステンバー、犬フィラリア症、狂犬病、の犬の3大疾病」で説明します。
 犬の病気予防で有名なのは、①「ジステンバー」と言うウイルス病・ ②寄生虫病の「フィラフィア症」・ ③ウイルス病の「狂犬病」で説明します。
①、 ジステンバーは「イヌ科に所属する動物」の病気です。
 「イヌ」 「タヌキ」 「キツネ」は感染しますが、「ネコ」には感染しません。
②、 イヌのフィラリア(犬糸状虫)症は、「食肉目に所属する動物」の病気です。
「イヌ」「タヌキ」「キツネ」の他に、「アライグマ」「ネコ」「フェレット」も感染します。
時々各地の港や川に入り込んで、お騒がせの「アザラシ」も食肉目の動物です。
③、 狂犬病は、「哺乳動物網に所属する動物」の病気です。 全ての哺乳動物が感染します。 
「イヌ」「タヌキ」「キツネ」「アライグマ」「ネコ」「フェレット」は、当然感染します。
もちろん「ネズミ」も「人」も感染する病気です。
こうして「生物分類」を通して見ると、分かりやすいでしょう。

※(ここからの「6と7」は「おまけの余談」ですが、読んでください。 面白いです。)
6、 近年では、「遺伝子DNA分子から、どのくらい近縁関係なのか?」を測ります。
 近年では、この近縁関係を測るのにDNA測定を役立てています。 この近縁関係を「遺伝子DNAを使用して測定する方法」を、特に生物学者は「DNA分子時計」と呼んでいます。
 類似の測定法を利用している、皆様方のお馴染みは「親子関係・親戚関係・警察鑑識の犯人特定」を知る方法、として使用されている事でも有名です。

 この分子時計測定法で、「動物間の近縁の距離」を測定すると、人および類人猿のDNAと猿のDNAの間には、7%の違いが存在する。 オランウータンとゴリラ・チンパンジー・人との間には、3.6%の差があった。 人とゴリラとの差は2.3%。   
しかし、人とチンパンジー及びボノボとの差は「1.6%の、遺伝子DNA分子の差しかなかった!」と発表されています。
「私たち人はチンパンジー・ボノボ」とは、まさに「生物学的に、最も近い親戚どうし」で、あったと証明されたのです。

生物学って面白いでしょう。
その「生物学者」の言う事には、「人は、第3のチンパンジーだ」と言うのです。 (※ ジャレット・ダイアモンド著、第三のチンパンジーより引用)
 


この事実を知ってあなたは、動物園で「チンパンジーに合ったら」どうします?
「やー、おじさん・おばさん達、ご無沙汰いたしておりました。」って、言えますか? 
私は、まさに一つ間違えれば「私が、そのオリに入っていたのかもしれない」と言う、「猿の惑星の世界」を想像してしまいます。

7、 狂犬病予防は、いらないのですか? 「日本に無い病気」なのでいりません。
 ところで、「なぜ狂犬病の予防注射はいらない」っていうのですか?」と言う、質問への回答もしておきます。
日本には、60年間以上もの間、狂犬病の発生はありません。 日本は、国際的に認められている、狂犬病の清浄国です。 もちろん、「庭に来るタヌキから、移されるという心配」事はありません(注、1)。 

(注、1) 「狂犬病予防注射は、必要ありません」と言う「狂犬病予防法見直し論」。
狂犬病は、日本に無い病気です。 山に住む「タヌキにもキツネ・鹿・猪・ニホンザル等々のお山の動物たち」にもありません。 日本での狂犬病の発生は、もう「60年間以上の長きにわたって、その発生は無い」のです。 WHOを含め、国際的に「日本は、狂犬病の清浄国」の認定を受けています。 その清浄国の認定国の中で「狂犬病の予防注射を、法律で義務化しているのは日本だけです」。 国際獣疫事務局は、「日本は過剰対策になっている」と、勧告しています。 日本で狂犬病の発生確率は、「4万9,000年に1度」と言うレベルの低確率です(東京大学山田名誉教授)と数値を出して説明しています。 要するに「狂犬病予防法と言う法律」が、今の時代に合っていないのです。 かた先生も「狂犬病予防法は、見直しすべき論」を支持しています。 

おわりです。