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かた21動物病院

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質問箱

【犬の散歩で「首輪(カラー)と胴輪(ハーネス)」、どっちが良いの? (Q&A: 10606-01)】 10606_01


【犬の散歩で「首輪(カラー)と胴輪(ハーネス)」、どっちが良いの? (Q&A: 10606-01)】
*	引っ張り犬には「首輪(カラー)と短い手網(リード)」が、必須アイテムです。 *

 


【犬の散歩で「首輪(カラー)と胴輪(ハーネス)」、どっちが良いの? (Q&A: 10606-01)】
*	引っ張り犬には「首輪(カラー)と短い手網(リード)」が、必須アイテムです。 *

【(Q: 10606-01) 犬の散歩で「首輪(カラー)と胴輪(ハーネス)」、どっちが良いの? 】
うちの子、5カ月のアメリカン・コッカ―のオス「エル」です。 散歩に出ると嬉しいのか、あっちこっちと引っ張って歩きます。 強く引っ張る時には、「首が締まっているのではないか」と心配するほどです。 胴輪を着けて散歩している人を見かけますが、「首輪と胴輪」どっちが良いのでしょうか? 教えて先生質問箱に投稿です。
福岡市 エルママ(体型ではありません)

【(A: 10606-01) 犬の散歩で「首輪(カラー)と胴輪(ハーネス)」、どっちが良いの? 】
「どっちが良いの?」という質問には、「どっちも良いよ!」と答えるようにしています。 その方が質問者の方が「より困惑するから」というわけではありません。
 それぞれが「製品化されてきた背景と歴史」があります。 それぞれの「製品が5年間以上存在している」と言う事は、双方に良い点があるからです。 また「目的があって、開発される」わけですから、その目的が違っているものを「同一視」して比較するには「無理・問題」が多すぎるからです。

しかし、それはそれとして、いつものように「かた先生の独断と偏見」で回答致します。
「エル君は5か月齢のオスで、散歩に出ると引っ張り歩きをする」子ですね。 そういうワンちゃんには、首輪と胴輪どっちが良いか?という質問と理解しました。
「教えて先生質問箱」承りました。 あなたの質問には、「犬種・年齢・躾(しつけ)」の3っつの方向から回答いたします。

それでは、「教えて先生質問箱」始めます。 回答の順序・構成を表示いたします。
1、 犬を飼うための、道具としての首輪(カラー)と胴輪(ハーネス)の必要性。
2、 犬種的特性の方向から。
3、 年齢的特性の方向から。
4、 躾(しつけ)、訓練の方向から。
5、 犬は孫悟空(そんごくう)、あなたは三蔵法師(さんぞうほうし)。
6、 結論です。

 

1、 犬を飼うための、道具としての首輪(カラー)と胴輪(ハーネス)の必要性。

 犬を「安全に散歩させる」ためには、「首輪」は無くてはならない「道具」です。 ①飼い主さんの「意志を犬に伝える」ために、また②「突然の犬の飛び出しを止める」ために、もう一つの重要な目的は③「他の人・犬・物に、ご迷惑をかけない様にする(接触を避ける)」ために、イヌを飼うと同時に「首輪と短い手綱(リード)」が、共に道具として絶対必要なアイテムです。
 その意味で、子犬が来たらすぐに「首輪の装着」をしましょう。 たとえ、室内犬であろうと、外で飼う犬であっても「首輪」は必要なものです。 当然、しばらくは「首輪はつけっぱなし」です。

 「胴輪(ハーネス)」も基本的には、「首輪と同じく①②③の機能」を備えています。
が、ハーネスの本来的な使用目的は「牛や馬が荷車を引く力、荷重を前胸で受け止められるよう」に、力学的に考案された「引っ張るための、装置(道具)」です。

 犬用としては「労働をサポートする犬(使役犬:注1「フランダースの犬」のネロ)が荷物などを乗せた荷車を引くときに、その荷重を前胸で受ける」ように作られているのです。 つまり、犬用であっても本来的には、「ハーネス(胴輪)は、引っ張るための装置(道具)」です。

 決して、飼い主の「やさしさを表す道具」ではありません。

(注1): 使役犬(ウワーキングドッグ):番犬・そり引き犬・牧羊犬・狩猟犬・警察犬の他に、盲導犬・聴導犬・サポート犬・セラピー犬・探査犬・レスキュー犬・探知犬・運搬犬などの仕事をこなす犬。

 

2、 犬種的特性の方向から。

 エル君は、アメリカン・コッカ―・スパニエルという犬種です。 この犬種は、もちろん祖先は「イングリッシュ・コッカ―・スパニエルですので、狩猟犬(ワーキング・ドッグ)」です。 潜在的特性として「目標を察知したら、その目標に向かって突き進む」性質が残っています。 つまり、引っ張り犬の特性を「基本的に持っている」と言う事です。 そしてその性格が「アメリカン」に変って「チョットおっちょこちょい」の性格も持っています。
 つまり、エル君には「引っ張り犬で、おっちょこちょいの潜在的な性格」があります。

3、 年齢的特性の方向から。

エル君が5カ月齢、人年齢で言えば「7~8歳の小学生の1~2年生」ぐらいで、まだ「はしゃぎたい年頃」であると言う事です。 何んにでも興味があって、まさしく「鼻を突っ込みます」。 そろそろちゃんとした「躾(しつけ)・訓練」を、教えておかなければ「わがままが増長する」年齢です。
そしてその「躾・訓練」をするためには、「首輪と短いリード」が必要なのです。

 

「胴輪をしている犬」のイメージとして、たぶんエルママさんは、飼い主さんの横を、リードをたるませながらおとなしく飼い主さんと、歩調を合わせて共に歩いている介助犬のような場面を、想像されているのではないでしょうか? その通りなのですよ。
胴輪(ハーネス)という道具は、「訓練が済んだ(飼い主さんのとの意志疎通を、ハッキリと受け取れる)犬のみが、使用できる道具なのです。

4、 躾(しつけ)、訓練の方向から。

ところが、あなたの「エル君は5か月齢の引っ張り犬」です。 躾・訓練が済んでいるとは、言い難い状況です。 お散歩に出ると、あなたをワ~と引っ張って行くワガママ犬です。 確かに、ある方向から見れば、引っ張り犬の首がしまらないように胴輪の方がソフトなタッチで良いのではないか? という人もいると思います。 しかし、それは全く「間違った考えだ」と認識する必要があります。
あなたもそれに近い表現をしています。 強く引っ張る時には「首が締まっているのでは?」とお手紙にあります。

しかし、それは引っ張り犬をそれなりの「甘やかし・・・ワガママ」にさせているだけで、決して私の言う「人とペットとの良好な関係」ではありません。 これは言い方を変えれば「事故の素」です。
「味の素」ならうまみが残りますが、「事故の素」では後悔が後に残ります。
この際、「その様な甘ちゃんのお考え」は、キッパリ捨ててください。

犬が精神的に肉体的に成熟するには、約3年間ぐらいかかります。 それまでの期間、犬は自分の縄張りの中での「自己主張を繰り返し」、あなたを含めた集団の中で、「より高い地位」になれるように本能的にチャレンジし続けるので、「散歩で犬が飼い主を引っ張って歩く」というのも、自分の行きたい方向へ行こう、自分が「リーダーだから付いてきて」と言う本能的欲望の表れなのです。

飼い主には、イヌがヒト社会にコンパニオンアニマルとして受け入れて頂くために必要な「イヌのマナー」として、その犬の「自己主張を、コントロールしなければならない」と言う「義務」があります。

それは「犬を犬として、飼い主の指示に従わせる」と言う事であって、それが「躾(しつけ)」です。

犬の世界では「平等」という概念はありません。 上下関係、あなた飼い主さん家族を含めて、他者が自分より「上か?下か?」の位置的関係の認識で成り立っていて、自分はこの群(集団)の中で「何番目か?」が重要なのです。

 

犬はヒト社会で共存する以上、飼い主にはその事を「犬に理解させ認識させる義務」があります。 その犬の自由意志での行動を制限し、「自分が自由でなく、飼い主の許可を得て、はじめて行動を取れるのだ」と言う事、およびその指示に従う事が「自分と飼い主の、共通した喜びである」事を教え込まねばならないのです。
それが出来るまで、日々それを実行する事、それが「訓練」です。

5、 犬は孫悟空(そんごくう)、あなたは三蔵法師(さんぞうほうし)。

「首輪と短い手網(リード)」と言う「犬を飼うための必須的道具」には、その集団社会の中で「自分の行動には制限がある」と言う意味の、「犬への象徴的なメッセージ」でもあるのです。

「首輪とリード」、それはあたかも「首輪は孫悟空の頭の輪(金箍児/きんこじ)」であって、あなたの意志・命令に従わない様な時、あなたが「ダメ!」の号令と「リードをビシッと引いて、犬の行為を制止させる」ための道具。
つまり「孫悟空が、三蔵法師の指示に従わず」勝手な行動を取った時、三蔵法師が孫悟空を「こらしめるために、頭の輪(金箍児)を締め付けるために唱える呪文(金箍呪/きんこじゅ)」と同じ行為なのです。

だから、あなたのエル君が散歩途中、突然リードを強く引っ張った時、あなたはすかさず「マテの命令」を発しリードを強く引き戻し、その「引っ張り行為はだめ」をエルに悟らせなければなりません。 その時発生する「チョーク(一瞬の首の締まり)」は、ペナルティーです。
そして再度「スワレ・マテ」の命令を指示して、「一旦、落ち着かせる」ようにしてください。
うまくいけば「ごほうびの体への軽いタッチと賞賛の言葉、そしてフード一粒」を与えることです。

その時、強く引っ張り戻されたとき、短時間首吊り状態になったとしても、それは「三蔵法師が孫悟空の金箍児を締めて、あえて苦痛を与えた事(愛に鞭)、と同じようなもの」としてご理解ください。

それを確実に繰り返すことで、頭の良いエル君はすぐにそのことを理解します。 そして、その命令に従った時にもらえる「ごほうび(フード1粒)」と、あなたからの「賞賛の言葉や体への軽いタッチ」は、エル君の「喜び」となるのです。

 

逆にもし、これが「首輪(カラー)ではなく、胴輪(ハーネス)」であったなら、エル君がリードを引っ張って、あなたがそれを制止しようと、逆方向に強くそのリードを引き戻した時、首輪なら首吊り(チョーク)状態が発生して、「孫悟空の頭の輪が締まっている状態」であるべき事が、胴輪を着けて引き戻されたときには、それはあたかも「ブランコ遊びのような心地良い状態」で、ふとエル君があなたの顔を見たら「楽しそうに自分の方を向いて、何か言葉(誉め言葉?)」をかけてくれていると誤解するのです。

これではエル君から見て、「とても楽しい事」なのであって、「続けるべき事」です。行動として「改めるべき事」ではなく、「許される行為」として認識してしまいます。結果、さらなる地位拡大へと「引っ張り」に、チャレンジしていくのです。

だから、引っ張り犬の「躾とお散歩道具」には「胴輪(ハーネス)ではダメ」なのであって、「首輪(カラー)と短いリード(手網)」でなければならないのです。

再度申し上げますが、「短いリード」です。
伸びチジミする「フレキシブル伸縮リード」では、これまた「ダメ」です。
 リードは短く!! 「ビシッと引く」のです。

6、 結論です。

① 引っ張り犬には、「首輪と短いリード」が必要です。
② 躾・訓練の必要な犬、躾・訓練途中の犬には「首輪と短いリード」が必要です。
③ エル君は孫悟空。 首輪は「金箍児(きんこじ)」。 あなたは、三蔵法師。
④ あなたの「マテの命令とリードを強く引く」行為は、三蔵法師の「金箍呪(きんこじゅ)」です。 それはヒト社会でのコンパニオンアニマルとして、「仲間入りするために必要な、躾(マナー)教育」です。
⑤ あなたは「主人」。 エルはあなたの「従者」。
⑥ 「かわいい」ばっかりでは、ダメ。 「傍(はた)迷惑」です。
かた先生は「厳しい人」です。 「ビシッ!!」っと言っときます。

おわりです。