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かた21動物病院

人とペットの良好な関係を願う

質問箱

【「 子犬が回虫に、感染したのはいつ? 家に来る前? 来た後?? 」 (Q&A: 10101-02)】 10101-02

【教えて先生質問箱:(Q&A: 10101-02)】

【「 子犬が回虫に、感染したのはいつ? 家に来る前? 来た後?? 」 (Q&A: 10101-02)】
 * 子犬購入後一ケ月で、便に回虫がたくさん出た。 これって?? *
 



【Q:10101-02 子犬が、回虫に感染したのはいつ? 家に来る前? 来た後??】

 生後2か月齢の子犬をブリーダーさんから購入しました。 一ケ月後「ウンコにミミズのかたまりのように、白い虫がたくさん出たのです」。動物病院で診てもらったら「回虫の成虫」だとの事で、すぐに「駆虫剤治療」をしてもらいました。 それをブリーダーさんに話したら「うちでは駆虫剤は済ましてある。 うちで感染した証拠はない。 そちらで感染したんでしょ!」と言って、「わたしの管理が悪い」と言うのです。 ちょっとムカついています。 「いつ回虫に、感染したのか?」を証明できないのでしょうか?
ちなみにうちの子は、2019年10月2日生まれ、ラブラドール・レトリバーの子犬です。 19年12月05日に購入しました。 ちょうど飼い始めて一ケ月後(20年1月5日)に、回虫が便にたくさん出てきたのです。 いつ感染したのか判断できないでしょうか? 新年早々で申し訳ございませんが、「教えて先生質問箱」お願いいたします。
春日市 ラブの飼い主

【A:10101-02 回虫症、感染したのはいつ? 家に来る前? 来た後??】

お願いされたくありません。イヤです! こう言うのは困ります。
申し訳ございませんが、かた先生は「他人様のいざこざ問題には、介入いたしません」と言う事が、こういう「Q&Aの回答者」としてのスタンスです。
当院のモットーは「人とペットとの良好な関係を願う!」と言う事です。 「良好な関係」には、お手伝いさせていただきますが、「モメゴトへのお手伝い」は致しかねます。
つまり、「病気にかかったのはいつか?」 と聞かれても、「泥棒なら、防犯カメラで見ていれば分かるかもしれませんが、目には見えないビールスや細菌、寄生虫卵は小さすぎて、何時(いつ)入ったかわからん」のが一般的です。

しかし、「モメゴトへの協力は致しません」が、「回虫の発育や生活環は?」と言う「寄生虫学の学問的見地から解説して!」と言うご要望なら、「一ケ月より前か、後か?」の見解を出せるかもしれません。 ただし、その子(ラブちゃん)が回虫感染を受けていた事で、いい話もありますので「くれぐれも、心安らかに」お願いいたします。

「教えて先生質問箱」始めます。回答の順序・構成を表示いたします。
1、 事例(アナタの場合)考察の、前提条件と質問の整理。
2、 回虫の感染経路は、2経路ある。
3、 回虫の感染から、成虫になるまでの期間。
4、 このケースでの、一般論的補足(追加説明)。
5、 総合的判断(見解)
6、 気分転換:「悪いこと」ばっかりではありません。「利点」はあります。。

かた先生の「教えて先生質問箱」、イヤだけれども「チョットだけ」始めます。

1、事例(アナタの場合)考察の、前提条件と質問の整理;
 「いつ回虫に感染したか? 飼い始めてから1ヵ月間か? それ以前か?」
  ① 2019年10月02日生れのレトリバー。
  ② 2019年12月05日に購入、 12月02日で、生後2か月齢。
  ③ 2020年1月02日で、生後3ヵ月齢。
  ④ 2020年1月05日に、「糞中に成虫がたくさん出た」のを確認し、動物病院で「回虫の確認を受け、駆虫薬の内服投与」を受けた。
  ⑤ 「いつ回虫に感染したか?」が判断できるか。 飼い始めてからの1か月間か(家に来た後)? それともそれ以前か(家に来る前)?」

2、回虫の感染経路は、2経路ある。
 回虫の子犬への感染は2種類あって、「母子感染」と「生後感染」がある。
①、「母子感染」とは、文字の通り母親が感染していて「妊娠していた子犬が、胎児の内に、子宮内で感染を受ける」ことで、「子犬は産まれた時から感染している」ことになります。
この場合、胎盤から胎児(子犬)に侵入した回虫の仔虫は、肝臓に達し留まっている。 つまり、「母子感染を受けた生後すぐの子犬は、肝臓に回虫の仔虫(1㎜ぐらい)をもって生まれてくる」と言うことです。

②、「生後感染」とは、子犬が産まれて後(生後)に感染を受けることです。
この場合、子犬が「回虫の卵(成熟卵)や、回虫の幼虫(感染仔虫)を食べる」ことによって感染します。

3、 回虫の感染から、成虫になるまでの期間。
①、「母子感染」の場合: 生後すぐの子犬は、肝臓に回虫の仔虫を持って生まれます。その回虫の仔虫が子犬の消化管に入って「成虫になり、卵をうんこ中に排泄するようになるのには、早くて3週間以上かかる(早くて、21日齢以降である)」。
②、「生後感染」の場合: 出生直後の子犬に感染した回虫の幼虫が、成熟に達するのは早くて約30日後である。

4、 このケースでの、一般論的補足(追加説明)。
①、 上記 3、のそれぞれ①②の例での「日数」は、成熟(成虫)に達するまでの最低日数であって、「便と一緒に虫体が排泄される」までの「日数」ではない。 成熟すぐの虫体は若い成熟回虫であるため、腸内に留まっていて便と一緒には出てこない。 便に成虫体が出てくるのは、もっと後の日齢である。

②、 アナタのお手紙に表現されている、「ラブちゃんを飼い始めて一ケ月後の、ウンコにミミズのかたまりのように白い虫が、たくさん出たのです。」と言う表現から、5匹以上の成虫寄生があってその虫体排出があったと考えるのが妥当です。またお腹の中に残っている回虫の数まで入れると、かなり濃厚に感染している。
③、 一般的に、2か月齢の子犬を購入してきて、その子犬が外に散歩(外歩き)に出るには、早くて1~2週間後の事。 つまり、家の部屋の中で飼育管理されている子犬は、「その期間(初期の1~2週間)は、回虫感染を受けない」。
④、 犬からよく検出される「回虫には2種類、犬回虫と犬小回虫」がいますが「犬回虫の方が、犬小回虫より早く発育する」ので、ここでは犬回虫の方を代表で説明しています。 呼び名の通り「犬回虫の方が大型で、ミミズのかたまり」と表現されるのにもふさわしい。
犬回虫:  ♂40~100×1,5~2,0㎜、♀50~200×2,0㎜
(犬小回虫: ♂20~70㎜、 ♀22~100㎜)

 

5、 総合的判断(見解)。
上記で解説した要点は、
①、 母子感染の子犬は、早く(生まれた時)から感染している(3-①)。
②、 生後感染例では、その回虫が成熟するまでには、早くても30日以上かかる(3-②)。 生後2カ月間飼育されていた子犬は、感染を受けるチャンスはある。
③、 「便に成虫体が出てくる」のは、感染後30日(成熟日齢)よりもっと後の日齢である(4-①)。
④、 濃厚感染を受けるには、ある程度の期間(日数)が必要(4-②)。
⑤、 一般家庭の室内飼育環境では、購入してすぐの子犬が回虫感染を受けるチャンスはない。 外散歩に出るのは、飼い始めて1~2週間以上後(4-③)。
⑥、 総合的判断(見解): 「いつ回虫に感染したか? 飼い始めてから1ヵ月間(家に来た後)か? それ以前(家に来る前)か」?」については、上記の内容から「飼い始めてからの1か月間では無く」、それ以前に感染した可能性が、極めて高い。

6、 気分転換:「悪いこと」ばっかりではありません。「利点」はあります。
①、 子犬が「回虫症に感染していた」ということは、少なくともその母犬はお産をするまで、野外の土の運動場でしっかり遊んでいたと言う事です。 またその子犬も母犬や他の犬と一緒に、その運動場で遊んでいたと言う事でもあります。 この事は「子犬は精神的安定と、犬としてのタシナミ(マナー)研修を、群れ集団の中で学習していた」と言うことにつながります。
②、 子犬の時期に「回虫などの消化管内寄生虫感染」を受けると、その子が将来の「アトピー性皮膚炎の病気になる確率が減る」と言う、説もあります。 その事から、この事件は「ある意味で、ラブちゃんとあなたにとって良かったね!」と言えることなのです。
③、 また、「ちゃんと親犬たちの運動場がある」ブリーダーさんから購入されたことは「間違いではなく」、むしろ私から見ても良かった事なのです。 ラブちゃんが来てくれて「ありがとう!!」と言う気持ちに成る事を期待いたします。(当院のモットー「人とペットとの良好な関係を願う!」)
④、 最後に「アドバイス」です。
もう一度、早い時期に「駆虫処置を受ける」ことをお勧めいたします。 通常、このようなケースでは「一回目の駆虫から、10日間から14日目の間に、第二回目の駆虫薬の投与処置」を受けることをお勧めしています。 駆虫剤投薬が1回だけでは「駆虫残しが発生」する場合があります。 そしてノミ取り剤も付ける様にしてくださいネ。

「くれぐれも、心安らかに」お願いいたします。
おわりです。