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かた21動物病院

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病院業務

福岡市NPO活動補助金審査会の不交付理由に見る狂犬病予防に対する誤解

2007年と2008年にNPOの行動計画に福岡市より、NPO法人の活動に対して助成金(福岡市NPO活動推進補助金)を出すことになりました。
福岡市に「活動のための助成金申請」を行いましたが、「不交付」でした。不交付決定の件は「そうですか、それは残念」と言って聞く話ですが、「不交付理由」に狂犬病予防に対する重大な誤解を見ましたので、誤解を持っておられる方のためにご説明します。

このホームページで紹介している「当協会の新聞広報」と「イエローカード20,000枚印刷」の費用等に「福岡市NPO活動推進補助金」の交付申請(年1回ある)を7月30日に出しました。8月27日に「申請事業のスピーチを出して下さい」とのことで、心はずんでプレゼンテーションをしましたが、深く掘り下げた質問もなく終了。 後日「福岡市NPO活動推進助成金不交付決定通知書(9月9日付)」が届きました。

福岡市NPO活動推進助成金不交付決定通知書(9月9日付)

  1. 補助事業名
    市民および飼い犬に対する狂犬病予防の重要性の啓発と予防注射実施普及に関する事業。
  2. 不交付の理由
    福岡市NPO活動推進補助金審査の結果による。

補助金審査会で「市民および飼い犬に対する狂犬病予防の重要性の啓発と予防注射実施普及に関する事業」に対して出された意見

  1. ペットショップなどの協賛企業を募って事業を行ってはどうでしょうか。
  2. 狂犬病予防注射の営業プロモーション事業と感じられ、市の補助金事業としては向かないと考えます。

今すぐ協賛金が得られるでしょうか?

ペットショップは狂犬病予防の受益者になりえません。ペットショップというのは「子犬を販売」している企業です。生後1.5ヶ月~遅くとも3ヵ月令までの子犬を販売しています。狂犬病予防注射と言うのは91日令以上の犬が対象なのです。ペットショップは狂犬病予防の受益者にはなりません。私どもがペットショップに期待しているのは子犬を販売したときに新しい飼い主にイエローカードを渡して、「ワクチン予防プログラムの最後は狂犬病ですよ」とインフォーメーションを出していただきたいのです。
企業はどうでしょう。もちろん企業にも働きかけています。まずは混合ワクチンの早期市場化です。ものには順序があるのです。
考えてみてください。企業に「協賛金をお願いします。」と言って、資金が集まるぐらいなら「市の助成金を下さい」などと申し立てるわけがないでしょう。現実的ではないです。「市に助成金を下さい」と言うぐらいお金がないのです。

中国の郭隗(カクカイ)氏をご紹介いたします。彼は昔しその時の王にこう言っています。「先ず隗より始めよ」

「狂犬病の予防注射の営業プロモーション事業と感じられる」とのことですが・・・・

狂犬病予防法は動物病院の営業プロモーションの法律なのでしょうか?狂犬病予防法は市民、国民、人類を守るための法律です。
「狂犬病予防の重要性」とは、犬を守るために重要であるとも、動物病院の利益を守るために重要であるとも言っていません。「人間を守るために重要である」と言っているのです。「公衆衛生や公共福祉」の観点での重要性なのです。つまり本来は市や公共団体が率先してすべきことをこの団体が実施しているのです。

世界中で今でも一年間に55,000人もの人が死んでいるのです。その病気が侵入し発生したとき、その蔓延を防止するために「予防注射による有効抗体保有率65%以上が重要だ」と言っているのです。「10分間に一人の人間がどこかで狂犬病で死んで行っているのです。」 2006年の11月に日本国内で二名が狂犬病で死亡したのです。新聞報道もされました。

犬のためじゃないのですよ、人間のためなのです。

WHO(世界保健機構)が定めた「世界狂犬病予防デー:毎年9月28日」は、世界中で獣医さんを「儲けさせる日」ではないのです。WHOが「世界狂犬病予防デー」を定めたのは、地球上から狂犬病を撲滅することが目的です。人類が「天然痘」に次いで二つ目の病気撲滅のために世界中で取り組んでいる偉大なチャレンジプロジェクトです。動物病院の営業プロモーションではありません。これは世界の常識です。

この件は農林水産省ではなく、厚生労働省の管轄です。ですから市役所でも保健所福祉局が担当です。つまり「公衆衛生と公共の福祉」なのです。

日本には51年間、犬の狂犬病の発生はなかったのですが、周辺アジア諸国では年間の狂犬病死亡者が世界全体の約50%(約30,000人)を占めているのです。我が国のみ安全だと今後も言い切れるのでしょうか?今(2007年)、我々は狂犬病予防注射の実施率が8年前からの異常な低下に気付き行動を開始しています。今を最低としたいのです。そのことを9月7日の読売新聞にも「日本学術会議」がやっと認めてくれて「狂犬病 油断禁物 その予防接種率の向上に各自治体でしっかり取り組むようにしなさい」とありました。

9月7日の読売新聞朝刊 2008年9月7日読売新聞朝刊より

「狂犬病 油断禁物」日本学術会議の分科会(唐木英明委員長)は狂犬病ワクチンの接種率向上の必要性を訴える提言をまとめ、ホームページ(www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/index.html)で、公表externalした。
同会議は、全省庁にこの提言を送付し、対策の実施を求めたいとしている。狂犬病は、病原ウイルスを持った犬にかまれるのが主な原因で人などに感染し、発症するとほぼ100%死亡する病気。国内では1957年以来、発生しておらず、狂犬病ワクチンの犬の接種率が50%以下に低下している。
一方、海外では年間約5万5000人が死亡しており、2006年には、フィリピンで犬にかまれた患者2人が帰国後に死亡。海外から狂犬病に感染した動物が侵入した場合、ワクチン接種率の低さから、同分科会では、犬の間で再流行する可能性が指摘された。
こうした事情を受け、提言は①国外の流行状態の把握②飼育犬へのワクチン接種率向上③狂犬病予防知識の周知徹底-などの対策を、国や自治体で講じる必要性があると結論づけている。また、実際に狂犬病を見たことがない医師や獣医師が多く、患者の早期発見ができない恐れもあると指摘。狂犬病マニュアルや検査システムなども作るよう求めている。

今、行われている講習会の目的と何が違うのでしょう?

福岡市保健福祉局生活衛生部動物管理センターが動物取扱責任者という人たちを年2回に分けて、1回200人以上を市内から呼び出して講習会をやっています。あれも「獣医さんを儲けさせるため」だと同様に解釈できてしまいます。
毎年チラシを印刷して配布しており、それを「営業の手先をさせている」と解釈されては間違いでしょう。

「市の補助金事業としては向かない」・・・はたしてそうでしょうか?

私共のプロジェクト「狂犬病予防の重要性の啓発と予防注射実施の普及」の受益者とはだれでしょうか?はっきりとしていることは下記の4点です。

  1. 犬は当然、何度も注射を打たれることを望んでいません。
  2. 飼い主は。50年間以上も発生のない狂犬病の予防注射など受ける必要がないと思われるでしょう。また、注射を受けるとその犬の生涯(13年として)に合計10,150円の犬税を市に支払わなければなりません。自分の犬が痛い注射を受けるのも嫌に決まっています。可能であればやめたいことでしょう。
  3. 獣医師は注射を打つ時に手を咬まれて大怪我を負うことがあります。また、注射による事故もあります。実は狂犬病予防注射代金は安く設定されているのです。そして証明書の発行だとか、市に納入する「犬税」の代理徴収だとかの手続きの手間が多くあり。割の合わない業務の代表なのです。だから誰一人として「もうかる」から狂犬病予防注射を打ちたいと考えている獣医師はいません。
    ですから逆に「狂犬病予防注射だけはやりません」と言う動物病院があるのも事実です。
    ただただ獣医学を学び始めた頃、「獣医師の任務」として教えられた「人間を狂犬病から守る」という公衆衛生上の使命感、義務感からその実施に協力しているのです。ましてや「集合注射など止めてくれ」と発言する獣医師は沢山いるのです。
  4. 一方、福岡市はどうでしょうか。昨年度の「関係各位のこの事業への協力と実行」のお陰で、対前年度比接種頭数で約2,000頭の向上がありました。過去15年間で最高レベルです。
    そのお陰で福岡市は200万円の犬税の増収がありました。また福岡市の公衆衛生上の「狂犬病予防(防予)率」が1%アップしたのです。このことは我々の協会の新聞広報に書いてあります。

犬も飼い主も、獣医師も嫌な狂犬病予防注射、過去51年間も発生のない狂犬病のための予防注射、人間のためなのに人間が打たない狂犬病予防注射を犬に打って人間を守ろうとしているのです。この予防注射がより普及することでの受益者は「福岡市および福岡市民」なのです。

この事業を正しく理解して下さい

どうでしょう「狂犬病予防の重要性の啓発は動物病院の営業プロモーション」だとか「市の補助金事業としては向かない」と思われますか?

今回の助成金(福岡市NPO活動推進補助金)の申請では不交付決定という残念な結果になりましたが、私はめげない人間です。NPO法人の主催者の全員に共通していることです。ますますファイトがわいてきました。私共の事業「市民および飼い犬に対する狂犬病予防の重要性の啓発」は大切なことです。来年の補助金獲得を目指し頑張っていきたいと考えています。